研究

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機能性ペプチド(SVペプチド)を用いた骨格筋筋機能再生治療法の確立

教授 田中 晋(歯学研究科 顎口腔病因病態制御学講座 口腔外科学第一教室)

  • 医歯薬生命系
  • 歯学研究科・歯学部

研究の概要

オステオポンチン由来のSVVYGLR (SV) ペプチドは、骨格筋損傷動物モデル、骨格筋前駆細胞を用いた予備研究において、1)損傷骨格筋において瘢痕形成の抑制と筋組織の再生修復を促進して、筋機能を優位に回復させること、2)転写調節因子であるMyoDやMyogeninの発現増強を伴い、骨格筋前駆細胞の遊走能、分化誘導能を促進する作用を有することが明らかとなった。本ペプチドは低分子量で既知の報告物質と比較して抗原性が低く、安全性が高いことや、組織の再生修復に不可欠な血管新生能を有していることに加えて、骨格筋由来細胞の活性上昇による筋線維再生促進と線維化形成抑制という異なる複数の機序に対して有効性を示す点において新規性があり、新しい筋組織再生修復治療剤として期待される。

社会実装に向けた将来展望

骨格筋の先天的形態異常を有する口蓋裂は1/500-600人の国内発症率で、正常な言語機能を獲得するために断裂した軟口蓋筋の再構築を含めた形成手術を行うが、約10%の症例において機能障害が遷延し二次治療を余儀なくされる。当該技術の適用により術後の障害発症率が低下することで、患者の負担軽減のみならず大幅な医療費削減にも繋がる。また本被検ペプチドはサルコペニア等慢性骨格筋萎縮に対しても効果が期待されており、2020年8月に大学発バイオベンチャー(Elixir Pharma:代表取締役 前浜隆広)を設立して骨格筋再生医薬品の研究・開発を進めている。

担当研究者

教授 田中 晋(歯学研究科 顎口腔病因病態制御学講座 口腔外科学第一教室)

キーワード

SVVYGLRペプチド/オステオポンチン/再生医療/機能再生/骨格筋/口蓋裂/サルコペニア

参考URL

https://elixirpharma.co.jp

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。