研究 (Research)

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核酸標的低分子によるハンチントン病のリピート短縮治療 (Nucleic acid-targeted small molecules for the treatment of repeat shortening in Huntington’s disease)

特任准教授 中森 雅之、教授 望月 秀樹(医学系研究科)、教授 中谷 和彦(産業科学研究所) NAKAMORI Masayuki, MOCHIZUKI Hideki( Osaka University Hospital), NAKATANI Kazuhiko(SANKEN (The Institute of Scientific and Industrial Research))

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 産業科学研究所 (SANKEN (The Institute of Scientific and Industrial Research))
  • 医歯薬生命系 (Medical, Dental, Pharmaceutical and Life Sciences)
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻) (Graduate School of Medicine, Faculty of Medicine (Division of Medicine))

研究の概要

ハンチントン病は、遺伝子上のCAG 3塩基の繰り返し配列(リピート)が異常に伸びることが原因の神経変性疾患である。リピートが長ければ長いほど重症となることが知られており、患者の神経細胞でも徐々にリピートが伸びて症状の進行につながる。こうしたリピートの伸長には、CAG繰り返し配列による特徴的なDNA構造が関与すると考えられている。今回、大阪大学神経内科学の研究グループは、同産業科学研究所・中谷教授により創成された、CAGリピートが形成する特徴的なDNA構造に結合する核酸標的低分子ナフチリジンアザキノロン(NA)に、異常に伸長したCAGリピートを短縮させる作用があることを見出した。本研究成果により、ハンチントン病の原因となる伸長したCAGリピートを短縮して正常化するという究極の遺伝子治療への道がひらけた。またこの治療法はCAGリピートの伸長が原因である脊髄小脳失調症など他の神経疾患へも同じ原理で効果が期待される。

社会実装に向けた将来展望

本研究成果により、これまで治療法がなかったハンチントン病や脊髄小脳失調症などの神経難病の治療開発につながる。リピートが異常に伸長しておこる病気には、他にも筋萎縮性側索硬化症や筋強直性ジストロフィーなどがあり、これらの原因となる異常伸長リピート全般を対象とした核酸標的低分子創薬にも期待がもてる。

担当研究者

特任准教授 中森 雅之、教授 望月 秀樹(医学系研究科)、教授 中谷 和彦(産業科学研究所)

本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
望月 秀樹
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2018/2fva21/

キーワード

核酸標的低分子/ハンチントン病/トリプレットリピート病/リピート

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。