研究

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前立腺がんの発生と進展における腸内細菌叢の影響に関する研究

招聘准教授 藤田 和利、教授 野々村 祝夫(医学系研究科 泌尿器科学)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻)

研究の概要

前立腺がんは2018年時点、日本の男性で最も多い癌であり、全世界で120万人が新たに罹患している。さらに近年その罹患数は増加傾向である。そのため、前立腺がんの予防戦略の確立は世界的な重要課題といえる。前立腺がん罹患に関与する後天的要因として脂質摂取量の増加など食生活の変化が疑われているが、いまだその機序は特定されていない。一方で腸内細菌叢は食生活によって変化し、宿主の健康に影響を及ぼすことが知られている。我々は、食事と腸内細菌叢と前立腺がんの関係に着目し、腸内細菌を介した前立腺癌制御メカニズムの解明に取り組んできた。前立腺がんモデルマウスを用いた基礎研究では、腸内細菌によって代謝される短鎖脂肪酸が癌細胞の増殖を促進することを明らかにした。さらに、前立腺がん患者の腸内細菌叢解析でも短鎖脂肪酸産生菌が増加していた。食生活が腸内細菌叢を介して前立腺がんに与える影響について研究を行い、前立腺がんに対する新たな予防戦略の確立を目指す。

社会実装に向けた将来展望

本研究により腸内細菌叢のパターンに応じた前立腺がんのリスク評価や、リスクに応じた食事指導やプレ・プロバイオティクスによる腸内細菌叢の改善が可能になる。このことは前立腺がんの早期発見や罹患率の低下につながり、医療費の抑制に貢献しうる。

担当研究者

招聘准教授 藤田 和利、教授 野々村 祝夫(医学系研究科 泌尿器科学)

キーワード

前立腺癌/食生活/腸内細菌叢/細菌代謝産物

参考URL

http://www.osaka-urology.jp/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。