研究

最終更新日:

蛋白質の翻訳後変化により形成されるがん特異的抗原を標的としたCAR T細胞療法の開発

教授 保仙 直毅(医学系研究科 血液・腫瘍内科)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻)

研究の概要

キメラ抗原受容体(CAR) T細胞療法とは、がんに特異的な細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体を応用した最新の細胞免疫療法であり、様々ながんに対するCAR T細胞は世界的競争となっている。そのためには各がんに特異的な細胞表面抗原を認識するモノクローナル抗体が必要であるが、様々な網羅的解析法を用いた探索は世界中ですでに精力的に行われており、新たながん特異的細胞表面抗原の同定は難しいと考えられていた。我々は、多発性骨髄腫という血液がん細胞においてはインテグリンβ7が恒常的に活性化していることを見出し、活性型構造のインテグリンβ7を特異的に認識するCAR T細胞が強い骨髄腫特異的な細胞傷害活性を有することを示した。この結果はタンパクの発現自体はがん特異的でなくてもその翻訳後の変化により形成されるがん特異的な抗原がCAR T細胞の標的となり得ることを示している。

社会実装に向けた将来展望

多発性骨髄腫に対するCAR T細胞の開発に続いて、現在は急性骨髄性白血病およびさまざまな固形がんにおいて同様のがん特異的抗原の同定とそれを標的としたCAR T細胞療法の開発を続けており、pre-clinicalでの検討でPOCが得られたものはすぐに臨床試験への移行が可能である。

担当研究者

教授 保仙 直毅(医学系研究科 血液・腫瘍内科)

参考URL

https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/bldon/
http://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/en/laboratory/naoki_hosen/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。