研究

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糖鎖を用いた慢性膵炎または膵がんの新しい病態解析とバイオマーカーの開発

三善 英知(医学系研究科 保健学専攻)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(保健学専攻)

研究の概要

膵臓がんは早期診断が困難な上に、手術してもすぐに再発する。その理由としては、膵臓がん発症ハイリスク群をしぼりこめていないこと、手術前の画像検査で見えない肝臓への小さな転移病変の存在が考えられる。私たちの研究室では、膵臓がん組織周囲に慢性膵炎の病理像が存在することや、慢性膵疾患の病態進展に腸内細菌が関与することを見出した。また、膵がん患者の膵液中に生きた細菌を発見し、膵臓での感染を血中の抗体測定で検知できる方法を開発した。さらに肝臓病学で広く知られているNASHのような病態が膵臓にも存在し、画像診断や糖鎖バイオマーカー(フコシル化ハプトグロビン:Fuc-Hpt等)を捉える可能性を示した。そして数理モデルを使って、潜在性膵炎や膵臓がん発症ハイリスク群の囲い込みを目指している。さらに、理学部との共同研究によってブタ型糖鎖ワクチンの開発に成功し、動物実験での有用性を示すことができたので、現在臨床試験の準備をしている。

社会実装に向けた将来展望

バイオマーカーと画像診断によって膵臓がんハイリスク群をしぼりこみ、膵臓がんを発症する前に糖鎖ワクチンで先制医療を行う。すでに膵臓がんが見つかった症例に対しては、画像診断で見えない微小転移をバイオマーカーで予測し、不必要な手術は回避して、患者のニーズに合わせた補完的な治療を行う。

担当研究者

教授 三善 英知(医学系研究科 保健学専攻)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2022/guidebook_2022/

キーワード

膵臓がん/慢性膵炎/バイオマーカー/糖鎖/数理モデル/糖鎖ワクチン/細菌感染

参考URL

http://sahswww.med.osaka-u.ac.jp/~tousa/index.html

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。