研究 (Research)

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シリコンチップ技術に基づく小型テラヘルツ合分波器の開発 (Development of miniature terahertz multiplexers based on silicon chip technology)

准教授 冨士田 誠之(基礎工学研究科 電子光科学領域) FUJITA Masayuki(Graduate School of Engineering Science)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 基礎工学研究科・基礎工学部 (Graduate School of Engineering Science, School of Engineering Science)

研究の概要

電波と光の中間領域の周波数を有する電磁波であるテラヘルツ波は、次世代の移動体通信6Gなどの超高速無線通信への応用が期待されていますが、そのデバイス技術が未熟という課題があります。特に、超大容量通信の実現に向けて、複数のチャネルを用いた情報伝送を可能とする信号多重化技術が必要であり、テラヘルツ信号を合成・分離する合分波器の開発が求められています。本研究では、誘電体としてのシリコンに着目し、4チャネルテラヘルツ合分波器の開発に成功しました。本デバイスの大きさは、約4 cm2と極めて小型であり、テラヘルツ波を用いた超大容量通信の各種応用展開を切り拓く成果です。

(主要図) 開発した合分波器の動作のイメージ。様々な周波数成分を含む広帯域なテラヘルツ波が開発した合分波器で4つの伝送チャネルから合成、もしくは、4チャネルに分離される。

社会実装に向けた将来展望

今後、送受信デバイスを集積化した小型テラヘルツトランシーバの開発を進めるとともに、動作周波数の向上、チャネル数の増加および、多値変調方式の利用などを進めることで、6Gのさらに次世代の目標になると予想される1テラビット毎秒級の超大容量通信の実現にもつながります。このようなシリコン配線を用いた小型テラヘルツ機能デバイスの実現は、経済発展と社会課題の解決の両立を目指す仮想空間と現実空間を高度に融合させたサイバーフィジカルシステムの実現において鍵となる超大容量通信技術が、携帯端末やドローン、自動運転、ロボット、航空宇宙応用など、様々なシーンにおいて実装されることにつながると期待されます。

(補足図) 開発したテラヘルツ合分波器の写真。

担当研究者

准教授 冨士田 誠之(基礎工学研究科 電子光科学領域)

キーワード

6G/シリコン/テラヘルツ/合分波器/通信

参考URL

https://www.jst.go.jp/pr/announce/20210429/index.html

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。