研究

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水蒸気を利用した多孔質酸化物粒子の作製

助教 小澤 隆弘(接合科学研究所)

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  • 接合科学研究所

研究の概要

炭酸塩を徐々に加熱すると炭酸ガスを放出し、酸化物へと分解される。この熱分解反応を水蒸気雰囲気下で行うと、炭酸塩の分解反応が加速されると同時に酸化物粒子の粒成長も加速される。本シーズ技術は、水蒸気雰囲気下で展開される反応促進作用を利用して、孔径が50 nm以上のマクロ孔を有する多孔質酸化物粒子を作製する方法である。本手法は、大気圧の水蒸気雰囲気下での熱分解反応でマクロ孔を自発的に形成させることを特徴とする。具体的には、MnCO3を水蒸気雰囲気下で熱分解させると大気中よりも150 °C以上低温でMn3O4が作製でき、ランダム状に粒成長することで、Mn3O4粒子内部は迷路状のマクロ孔が形成される。水蒸気による反応促進作用により、マクロ孔を簡便に形成できる独自性を有する。

社会実装に向けた将来展望

マクロ孔を有した多孔質粒子は、気相中や液相中に存在する微粒子を捕集することができる。既に、有機溶媒中からのカーボンナノ粒子の簡便な捕集を実証している。今回作製した粒子は酸化物(セラミックス)であるため、高分子系材料と比較すると耐熱性や耐薬品性に優れ、フィルター材料としての応用が想定される。さらに、多孔質形状を活かした二次電池用電極材料への適用も想定され,リチウムイオン電池の負極利用あるいはLi塩との反応で形状を維持したまま正極材料への変換も可能である。

担当研究者

助教 小澤 隆弘(接合科学研究所)

キーワード

水蒸気/熱分解/多孔質材料/迷路状細孔

参考URL

https://researchmap.jp/thkw/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。