研究 (Research)

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環境調和型高性能熱電変換ナノ材料の開発 (Development of ecofriendly nanostructured materials with high thermoelectric performance)

教授 中村 芳明(基礎工学研究科) NAKAMURA Yoshiaki(Graduate School of Engineering Science)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 基礎工学研究科・基礎工学部 (Graduate School of Engineering Science, School of Engineering Science)

English Information

研究の概要

エネルギー消費量のうち70%は廃熱として捨てられており、この莫大な廃熱をターゲットとした熱電変換が新たなクリーンエネルギーとして注目されています。従来の熱電材料は高価・有毒な重元素が主に用いられてきましたが、安価・無毒な軽元素の場合、その低い熱電性能が課題でした。我々は、原子レベルで制御した独自ナノ構造(ナノドット・ナノワイヤ)形成技術を駆使して、熱電変換の至上命題であった電気と熱の独立制御を達成し、軽元素のみで構成した環境調和型高性能薄膜熱電材料を開発しました。あらゆる電子デバイスに使用されるSiに注目して、独自のSiナノドット連結構造を開発したところ、世界最小熱伝導率を達成し、Si 系IoTセンサ電源としての可能性を示しました。一方で、世界中で使われている窓ガラスの熱にも注目し、透明ZnOナノワイヤ含有薄膜を開発した結果、熱伝導率低減と熱電出力因子増大を同時に達成し、透明ガラスを熱源とした透明熱電電源の可能性を示しました。

Siナノドット連結構造を用いた熱電材料
ZnOナノワイヤを用いた高性能透明熱電材料

社会実装に向けた将来展望

昨今のCOVID-19や高齢化社会により遠隔通信をベースとした新たな生活様式に移行しつつあります。こうした背景のもと、我々はナノ構造を用いた高性能薄膜熱電電源をIoTセンサに組み込むことで、新たな生活様式を支えるための遠隔通信社会システム実現に貢献します。これにより、医療・農業を含む幅広い社会分野を支えることを目指します。

見据えるビジョン

担当研究者

教授 中村 芳明(基礎工学研究科)

キーワード

熱電変換材料/ナノ結晶/ユビキタス元素/エピタキシー/透明材料

参考URL

https://www.jst.go.jp/pr/announce/20141210/
http://www.adv.ee.es.osaka-u.ac.jp/
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2014/20141210_1
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20181031_2 https://engineer.fabcross.jp/archeive/181101_nanowire.html
http://www.optronics-media.com/news/20181031/53791/
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210129_1

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。