研究 (Research)

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超分子科学に基づいた強靭な自己修復性高分子材料の創製 (Creation of tough self-healing polymeric materials based on supramolecular science)

教授 髙島 義徳(理学研究科 高分子科学専攻)、 特任助教 PARK JUNSU(理学研究科 高分子科学専攻 高分子材料設計学研究室) TAKASHIMA Yoshinori , PARK JUNSU(Graduate School of Science)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 理学研究科・理学部 (Graduate School of Science, School of Science)
  • 全学・学際など (University-wide, Interdisciplinary, etc.)
  • 高等共創研究院 (Institute for Advanced Co-Creation Studies)

研究の概要

シクロデキストリン(CD: ブドウ糖が6から8個つながった環状のオリゴ糖)を側鎖に有する高分子材料はCDの空孔に包接される分子の種類によって可逆性または可動性架橋を形成する。小さい疎水性分子(ゲスト分子)が自由に包接・解離する架橋を可逆性架橋、高分子鎖のように長い分子が包接され、CDがそれに沿って滑るような架橋を可動性架橋という (右上段図)。このような架橋を有する高分子材料は、従来の架橋点が固定された材料に比べ強くて伸びる。さらに、可逆性架橋の場合、高分子材料が破損しても元の外見や力学特性を回復する自己修復性を示し、可動性架橋の場合は既に重合済みの材料に液状モノマーを吸わせてからさらに重合して異種材料混合性を実現した(右下段写真)。この二種の架橋からなる材料設計は、幅広い材料に適用できるため、産学の技術革新に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献できる。

社会実装に向けた将来展望

今に至るまでCDの化学を調べ、材料化、さらに材料の機能化を達成してきた。この過程で得られた知見は新たな機能性ゴム・エラストマーやコーティング剤、異種材料接着剤などの新規機能性材料の生産に活用できる。さらに、企業との共同研究により今まで高価だったCDモノマーのコスト低減も実現できつつあり、近いうちに社会実装できるだろう。

担当研究者

教授 髙島 義徳(理学研究科 高分子科学専攻)
特任助教 PARK JUNSU(理学研究科 高分子科学専攻 高分子材料設計学研究室)

キーワード

高分子/強靭材料/コーティング/接着剤/耐衝撃材料

参考URL

https://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/takashima/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。