研究

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高温融体の熱物性評価技術の開発

准教授 大石 佑治(工学研究科 環境エネルギー工学専攻)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

研究の概要

原子力発電所における炉心溶融事故の進展を予測するためには、核燃料などの炉心構成物質が高温で溶融することで生成する炉心溶融物の熱物性を把握する必要がある。高温液体の物性評価には浮遊法が用いられてきたが、酸化物を浮遊させ様々な熱物性を測定する方法は知られていなかった。
本研究では、酸化物の浮遊に適したガス浮遊法をベースとし、酸化物の比熱、粘性、表面張力といった熱物性を評価する手法を開発した。ガス浮遊法ではガス浮遊用のノズルから浮遊ガスを噴出させ、2 mm程度の直径の試料を浮遊させる。レーザーで試料を加熱溶融させることで液滴とする。2種類のガスを浮遊ガスとして用いることで2種類の冷却曲線を取得し、未知変数である比熱と放射率を同時に決定することができる。またノズルを分割することで液滴を落下させ、基板と衝突させる。衝突後に液滴は反跳し振動するので、この振動から粘性と表面張力を評価することができる。

社会実装に向けた将来展望

高融点酸化物である炉心溶融物に対して本手法を適用することで、その熱物性を解明することできる。炉心溶融物の正確な物性値が明らかになれば、福島第一原子力発電所事故の事故進展の予測精度の向上が期待できる。また、耐熱セラミックスの溶融時の熱物性を解明することも可能である。

担当研究者

准教授 大石 佑治(工学研究科 環境エネルギー工学専攻)

キーワード

ガス浮遊法/粘性/表面張力/比熱

参考URL

ttp://www.see.eng.osaka-u.ac.jp/seems/seems/

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2022(社会実装を目指す)より抜粋したものです。