研究 (Research)

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バイオフォトメカニクスのアプローチによる再生と疾病の研究 (Biophotomechanical approaches to organ regeneration and disease)

助教 松﨑 賢寿(工学研究科) MATSUZAKI Takahisa(Graduate School of Engineering)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 工学研究科・工学部 (Graduate School of Engineering, School of Engineering)

研究の概要

生物の臓器を培養皿で育むオルガノイド技術(Organ:臓器、oid:もどき)が隆盛を極めつつあります。しかし、培養液に加える添加剤の組み合わせこそが研究室のノウハウであり、その秘伝のレシピにアクセスできない企業はオルガノイド研究に参入する障壁が高く、更なる発展に向けた阻害要因となっています。
そこで、私は身近な物理量である「硬さ」で統一的な培養法が開発できないかと考えています。私たちはこれまでに、力学特性の評価技術の開発を進めつつ、肝臓オルガノイド創生には好みの硬さが存在すること(図1a)、さらに細胞硬化が分化を誘発する引き金であることを解明してきました。JST創発的研究支援事業に採択された今では、多様な臓器研究者と連携して、生体内の臓器ごとの好みの硬さを光で計測する、バイオフォトメカニクスのアプローチによる技術開発を加速しています。

図1 (a)肝臓オルガノイド創出を最大化する場の硬さ(Cell Stem Cell 2015)、(b)細胞膜の硬化に基づくがん転移の抑制(PhysChemChemPhys 2017)

研究の先に見据えるビジョン

硬さに基づく臓器再生・がん疾病の治療法の確立へ

臓器の発生を最大化する硬さは臓器毎に異なります。この硬さをマップに表してデータベース化できれば、情報を材料にプリントアウトし、多臓器を一挙に創出するオルガノイドバンクを創生する未来が見えてきます(図2)。がん疾病の抑制には、細胞の力学特性のバランスを整える必要性があることを明らかにした経験から(図1b)、硬さに基づく新たな治療法の確立へと繋げていきたいと考えています。

図2 多臓器発生を最大化する硬さの定量解明(JST創発2021-)

担当研究者

助教 松﨑 賢寿(工学研究科)

キーワード

オルガノイド/材料/バイオフォトメカニクス/光計測/臓器発生/がん疾病

応用分野

臓器再生医療/がん医療/硬さに基づく治療法の確立/創薬開発

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2022」より抜粋したものです。