研究

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コンパクト超高指向性中性子源の開発 ~手術のいらない夢のガン治療への応用~

准教授 有川 安信(レーザー科学研究所)

  • 理工情報系
  • レーザー科学研究所

研究の概要

放射線の一種である中性子線は、安全に制御しうまく活用すると、その特徴を生かして手術の要らないガン治療が実現できます。また、X線回折法でも見えないタンパク質の構造を視ることができたり、分厚いコンクリート壁の中を透視することもできるなど、身の回りでもさまざまな形で役立っています。
これまで中性子発生装置といえば国立研究所や大きな大学にしかない大規模装置でしたが、私は、それを机の上に置ける大きさにまで小型化することを目指しています。コンパクト化と低価格化によって、小さな病院や企業や実験室に1台ずつ設置することができるようになると、応用展開先が大きく広がっていきます。また、発生させても放射角が広すぎて使いにくかった中性子源を完全平行ビームで発生させる技術の開発にも取り組んでいます。我々が発明した新しい手法では、理論上わずか1度の放射角の中性子ビームが発生できるようになります(図1)。

図1 開発中の超高指向性中性子発生における中性子放射角の計算予測

研究の先に見据えるビジョン

中性子ビーム超高指向性化により応用展開を加速

例えば、実用が開始されつつあるBNCT(ホウ素中性子捕獲療法)ガン診療において、中性子ビームの超狙い撃ち化が実現し、ガン組織の周辺の侵襲を無くし、より短時間で効果の高い治療が実現できると期待されています。この技術は核医学、核物理、核化学、核工学、など幅広い分野を発展させる可能性を持っています。

開発中の小型超高指向性中性子発生装置と核医学への応用

担当研究者

准教授 有川 安信(レーザー科学研究所)

キーワード

コンパクト中性子源/中性子発生

応用分野

核医学/核物理/核化学/核工学

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2022」より抜粋したものです。