研究 (Research)

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高強度レーザー光による高エネルギー密度プラズマ物理の研究 (High energy density plasma physics with high intensity lasers)

准教授 岩田 夏弥(レーザー科学研究所) IWATA Natsumi(Institute of Laser Engineering)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • レーザー科学研究所 (Institute of Laser Engineering)
  • 全学・学際など (University-wide, Interdisciplinary, etc.)
  • 高等共創研究院 (Institute for Advanced Co-Creation Studies)

研究の概要

レーザーは、集光によって、実験室では最も高いエネルギー密度(高圧力)状態を実現できます。現在、光の圧力が10億気圧を超えるレーザー光の生成が可能となっています。このような高強度光を物質に照射すると、ピコ秒という短時間に高エネルギー粒子が大量に叩き出されるとともに、1000万度を超える高温のプラズマが生成されますが、加速や加熱の基礎メカニズムはよく理解されていません。我々は、高強度レーザー光によるエネルギー注入下でのプラズマの構造発展と、形成される高エネルギー密度プラズマが内包する加速・輻射などの特異な機能の解明を目指した理論・シミュレーション研究を行っています。これまで、高温に加熱されたプラズマが10億気圧級の光を押し戻す現象など、光と物質の新しい相互作用特性を明らかにしてきました。

図1 高強度レーザーを使った高エネルギー密度プラズマ物理研究による学術・応用技術展開

研究の先に見据えるビジョン

光が駆動するプラズマ集団現象の解明と応用

高強度レーザー光の照射下で、物質は電離し高エネルギー密度のプラズマ状態となります。プラズマは荷電粒子の集団であり、非常に多数の粒子が電磁場を介して相互作用し、複雑な集団現象を生み出します。高エネルギー密度プラズマ科学は、極限的な環境下における複雑系の物理を研究することで、新しい量子ビーム源や制御核融合など革新技術を切り拓くものです。これらは高エネルギー宇宙線加速や強磁場の起源、天体衝撃波やオーロラの構造形成など、宇宙の謎の解明にも直結します。複雑システムとしての自然を紐解くことで、思いもよらない物質の姿や美しい現象の発見につなげるとともに、持続可能なシステムとしての社会や科学技術の発展に貢献したいと考えています。

担当研究者

准教授 岩田 夏弥(レーザー科学研究所)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2023/OURG-01-04/

キーワード

プラズマ物理/高エネルギー密度科学/高強度レーザー

応用分野

宇宙物理学・天文学/量子ビーム科学/核融合科学/計算科学

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2022」より抜粋したものです。