研究

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生物素材の電子機能開拓による持続性エレクトロニクスの実現

准教授 古賀 大尚(産業科学研究所)

  • 理工情報系
  • 産業科学研究所

研究の概要

近年、電子機器の生産量が急増し、金属や石油など枯渇性資源の消費が加速しています。また、大量の電子ゴミが発生し、人体への悪影響や環境破壊を招いています。
そこで我々は、持続生産可能な生物素材を原料として、電子機器に必要な絶縁体・半導体・導体を創り、全て生物素材由来の持続性エレクトロニクスを目指しています。これまでに、樹木ナノセルロース由来の絶縁基材を用いて、電子ペーパー・アンテナ・メモリ等のフレキシブル・生分解性デバイスを開発しました。最近は、段階的炭化技術によるナノセルロースの半導体化(新奇ナノカーボン材料の創出)およびセンサ・エネルギーデバイスへの応用や、レーザー照射技術によるオールセルロース・湿度センサ(図1)の開発にも取り組んでいます。本研究を通じて、生物素材で創る高機能電子機器で豊かに暮らし、使用後は自然に還す、持続可能な循環社会の構築に貢献します(図2)。

図1 オールセルロース・湿度センサデバイス
図2 循環型の持続性エレクトロニクス概念図

研究の先に見据えるビジョン

生物素材が持つ未知の機能を引き出し活用する

樹木由来の「ナノセルロース」やカニ殻由来の「ナノキチン」をはじめ、自然界には魅力的な生物素材がたくさん存在しています。持続生産可能な生物素材の有効かつ積極的な活用は、SDGsに向けた喫緊の研究課題です。しかし人類は、生物素材の優れた機能をまだまだ使いこなせていません。
我々は、生物素材の電子機能開拓に加えて、太陽光を熱エネルギーとして利用するための光熱変換機能開拓や、体液を用いた非侵襲健康診断への応用等、幅広い研究開発に取り組んでいます。
これからも生物素材の新機能を開拓し、高機能性と環境調和性を両立したグリーンイノベーションを目指したいと考えています。

担当研究者

准教授 古賀 大尚(産業科学研究所)

キーワード

ナノセルロース/ナノカーボン/半導体/グリーンエレクトロニクス

応用分野

各種センサ/エネルギーデバイス/生体信号計測

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2022」より抜粋したものです。