研究 (Research)

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原子層人工結晶の創製とスピン流プローブの学理構築 (Creation of van der Waals crystals and establishment of spin current probe)

教授 新見 康洋(理学研究科) NIIMI Yasuhiro(Graduate School of Science)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 理学研究科・理学部 (Graduate School of Science, School of Science)

研究の概要

物質は原子や分子の集合体で構成されます。固体結晶であれば、原子が規則的に整列し、3次元ネットワークを形成します。最近、通常の結晶成長とは全く異なる人工的な手法で結晶を作製できるようになりました。それが原子層物質を組み合わせる手法です。原子層物質とは、3次元結晶を粘着テープで剥離して得られる2次元薄膜のことで、2004年に初めて発見されました。
私の研究では、抵抗がゼロになる超伝導体や、磁気を持つ磁性体などの3次元結晶を原子層物質に加工します。さらにこれらを自由に貼り合わせることで、天然には存在しない、特異な機能を発現できる革新的な人工結晶の作製を目指しています(図1)。また、人工結晶は微小であるため、その特性を調べる手段が非常に少ないことが難点です。スピンの流れを用いて超伝導体や磁性体の磁気的性質を調べること(スピン流プローブ)、さらにその学理構築を進めています(図2)。

図1 原子層物質を用いた人工結晶の一例
図2 スピン流デバイスを用いたスピンゆらぎの検出

研究の先に見据えるビジョン

スピン流物理の統一的な理解を目指して

私の研究は、あらゆる層状物質に対して適応可能で、組み合わせ次第で無限の可能性があります。革新的な原子層人工結晶の作製を通して、既存の物質では実現しない機能の創出を目指します。さらに、スピン流は素粒子物理から宇宙・天文物理まで適用でき、スピンに関する新現象を理解することで、普遍的なスピン流物理の学理構築を目指します。

物理学におけるスピン流の統一的な学理構築

担当研究者

教授 新見 康洋(理学研究科)

キーワード

ナノデバイス/スピントロニクス/原子層/超伝導/磁性

応用分野

スマートデバイス/量子コンピュータ

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2022」より抜粋したものです。