研究 (Research)

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スマート触媒の開発 ~安全性・耐久性・高活性を兼ね備える次世代型ナノ合金触媒~ (Development of smart catalysts – Next-generation nano-alloy catalysts that combine safety, durability and high activity)

准教授 満留 敬人(基礎工学研究科) MITSUDOME Takato(Graduate School of Engineering Science)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 基礎工学研究科・基礎工学部 (Graduate School of Engineering Science, School of Engineering Science)

研究の概要

持続可能な社会の実現に向けて、安全性・耐久性・高活性を兼ね備える次世代型触媒(スマート触媒)の開発を行っています(図1)。一般に化学工業で使われる水素化反応用の触媒には安価な非貴金属が用いられていますが、極めて発火性が高い物質です。また、反応を促進させるためには高温・高水素圧の厳しい条件が必要です。
私たちは独自技術で非貴金属にリンを加えた次世代型ナノ合金触媒を開発しました(図2)。この触媒は発火性がなく安全に取り扱うことができるだけでなく、水素化反応に高い活性を示すため、室温や常圧下などの温和な反応条件で、様々な水素化反応を効率よく促進させることができます。さらに、これらの触媒は反応後に容易に回収して再使用も可能です。このように、私たちは革新的触媒技術によって、従来の環境高負荷型の化学プロセスを一新し、次世代型の環境調和型化学プロセスを新規構築することを目指しています。

図1 安全性・耐久性・高活性を兼ね備える次世代型触媒
図2 開発した“スマート触媒”

研究の先に見据えるビジョン

触媒が先導する持続可能な社会の構築

安価・低毒性かつ豊富な資源である非貴金属を基盤とする触媒の開発により、現行に変わる安全・省エネルギー・低コストな持続可能性の高い環境調和型化学反応プロセスの開発が期待されます。またその波及効果は、化学工業に留まらず、経済性の改善、技術の地域格差是正、地球規模での資源の枯渇・環境問題の解決へと極めて有効な手段となります。実際に、開発した触媒は、CO2の資源化、ポリマー分解、およびバイオマス変換などの社会問題解決技術にも応用できます。また、学術面では、本触媒の特徴の一つである大気安定性によって、これまでの非貴金属ナノ粒子の調製法の制約がなくなり、新規触媒材料の探索領域が飛躍的に拡張します。在来の触媒材料の延長線上にない触媒群の新たな発見が期待されます。非在来型のナノ合金化技術により新しい触媒化学を開拓し、触媒が先導する持続可能な社会の構築を目指します。

担当研究者

准教授 満留 敬人(基礎工学研究科)

本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2021/nl85_research02/
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2014/201412_03/

キーワード

触媒/グリーンケミストリー/ナノ粒子/合金

応用分野

ライフサイエンス

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2022」より抜粋したものです。