研究 (Research)
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万病の元である「肥満症」を撲滅する ~免疫系と代謝系のクロストークに着目して~ (Eradicating obesity, the cause of all diseases – Focusing on the cross-talk between the immune system and the metabolic system)
特任助教(常勤) 木村 哲也(微生物病研究所 代謝免疫学グループ) KIMURA Tetsuya(Research Institute for Microbial Diseases)
研究の概要
肥満症患者では生活習慣病や心血管疾患、睡眠時無呼吸症候群、変形性膝関節症など様々な疾患の発症リスクが増大します(図1)。肥満症により多くの人の命と健康が失われ、労働生産性も低下します。McKinsey Global Instituteの試算によると、肥満に起因する経済的損失は世界で毎年200兆円に及びます。肥満者は今後さらに増加し、2030年には世界人口の半数がBMI 25を超えると予測されています。一方、肥満を解消する有効かつ安全な治療薬は存在せず、食事療法と運動療法が今でも主な治療です。
私の研究では、免疫系が活性化すると血糖値や血中脂質濃度に明らかな影響が出る事実に基づき、免疫系と脂質代謝系の新たな相互作用を解明し、鍵となる分子を発見して、肥満治療に応用したいと考えています。世界中で蔓延している肥満症を解決できる、全く新しい治療薬のシーズ発見に挑みます。
研究の先に見据えるビジョン
肥満症ゼロの世界をめざして
動物は太古の昔から飢餓に耐えて生き延び、進化の過程で栄養素を体に蓄える機構が発達しました。人類の生活も20世紀まで飢餓と隣り合わせでしたが、先人の努力と発明によって、豊富な食料が安定的に供給されるようになりました。21世紀は飽食の時代となり、すでに米国では国民の4割がBMI30以上です。先進国の中で最も肥満者が少ない我が国でも、成人男性の3割はBMI 25以上です。今や飢餓で亡くなる人よりも、肥満の合併症で命を落とす人のほうが多いほど、世界全体で肥満が蔓延しています。
意志の力だけで食事をセーブし体重を減らすことは難しく、その生活を数年以上ずっと維持することはさらに困難です。本研究の成果が、安全かつ効果の高い肥満症治療薬につながり、世界全体で肥満症を治せるようになり、世界中の人が健康を取り戻すことを夢見ています。
担当研究者
特特任助教(常勤) 木村 哲也(微生物病研究所 代謝免疫学グループ)
キーワード
肥満症/脂質代謝/マクロファージ/免疫系と代謝系の相互作用
応用分野
生活習慣病を防ぐ新規治療薬の開発/栄養素を介した免疫系の人為的操作