研究

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「いま、ここで」歩行者を助ける情報基盤技術の開発

准教授 古川 正紘(情報科学研究科)

  • 理工情報系
  • 情報科学研究科

研究の概要

都心部の駅のホームでは歩行者の渋滞や衝突が発生しがちです。また、初めて訪れる場所では多くの歩行者がスマホの地図アプリや道案内アプリに頼っています。このような「歩行者の混雑」や「道に迷う」といった課題に対して私は、歩行のために使われている感覚に錯覚を生じさせ、歩く方向を誘導することで、意識させることなく「いま、ここで」歩行者を助けるための情報基盤技術の開発に取り組みました。錯覚を生じさせることで歩行者の歩いていく方向を誘導する場合、感覚を提示した瞬間から2歩程度効果が生じないことが知られていました。そこで私は歩行状態の2歩先の予測技術として機械学習を用いた手法を構築し、遅延なく歩行誘導を行うための技術基盤を構築しました(図1)。今後は公共空間の交通整理を目的とした実証実験を重ね(図2)、歩行誘導効果の実証と、提案した方法の社会実装を促していきたいと考えています。

図1 2歩先の歩行運動を予測することで歩行誘導を可能にする
図2 錯覚を用いた歩行誘導による交通整理

研究の先に見据えるビジョン

予測と誘導が「価値ある体験」を生む社会

ヒトの意識下で実行される運動から意図を汲み取り将来の行動を予測することで、長期短期によらずヒトに意識されることなく、情報基盤技術が機能し浸透した社会が実現できると考えます。特に、本人が気づくことなく健康的な生活が提供されるような革新的な予防的医療サービスや、知らないことに気づく間もなく間をうまく読むことが可能な予測技術により、先行して必要な情報が提供され行動を促すことができれば(図3)、人間の知的活動の質向上につながります。

図3 当人が意識することなく先行して行動を促す技術

担当研究者

准教授 古川 正紘(情報科学研究科)

キーワード

歩行誘導/人流制御/群衆流/人流モデル/錯覚インタフェース

応用分野

公共交通インフラ/歩行障害/疲労の局所集中防止/商業施設の導線設計/潜在的市場規模の予測

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2022」より抜粋したものです。