研究

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光触媒・殺菌作用を有する二次元高分子材料の開発

教授 藤塚 守、准教授 小阪田泰子(産業科学研究所  励起材料化学研究分野)

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研究の概要

我々は、光を用いてエネルギー変換や殺菌作用を示す機能性有機材料の開発を行っています。本研究では、ポルフィリン共有結合性有機フレームワーク (COF)を剥離することで、ディスク状の高分子材料の共有結合性有機ナノディスク (CON)を合成し、光触媒として用いることで、助触媒存在下でエネルギー源として注目されている水素を効率よく発生させることに成功しました。また、CONはCOFに比べ細菌に対してより優れた光増感作用として高い殺菌活性を示すことを明らかにしました。

そして簡易な方法で、ディスク状の形状をしたCONを合成できることが分かりました。また、助触媒存在下で、合成したポルフィリンCONは、 COFに比べ、光照射により最大で7倍の水素を発生する光増感剤としても機能することが分かりました。合成したポルフィリンCONは、オリジナルのCOFと比較して、光照射により10倍以上の抗菌活性を示しました。

研究の背景と結果

ポルフィリンに代表される光増感剤などからなる光機能性材料は、細菌などを不活性化するための最も有望な材料の一つです。中でも、高分子に分類される光機能性有機材料は、光増感剤としてしばしば用いられています。有機高分子材料の光増感剤の中でも、COFは、細菌を不活性化する光触媒として有望であり、実用化に向けてより高活性な光増感作用をしめす有機高分子材料の開発が望まれていました。

研究の意義と将来展望

光機能に応じた二次元ポリマーの新しい作製方法を複数示し、このディスク状高分子が人工光合成を目指した光触媒反応に使用できる光機能性材料であることを示しました。今回作製したポルフィリンCONは、殺菌剤として利用すると、大腸菌の場合、一重項酸素が菌膜の破裂という致命的なダメージを与えていることがわかり、これを用いれば大腸菌のみならず、一般的な殺菌剤としての利用が期待できます。

担当研究者

教授 藤塚 守、准教授 小阪田泰子(産業科学研究所  励起材料化学研究分野)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
小阪田 泰子
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2018/weetnj/

キーワード

光触媒/高分子/活性酸素/電子移動/水素

応用分野

医療・ヘルスケア/創薬