研究

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現実空間とサイバー空間を継ぎ目なく融合する空間拡張現実技術

准教授 岩井 大輔(基礎工学研究科)

  • 理工情報系
  • 基礎工学研究科・基礎工学部

研究の概要

我々の身の回りの実物の見えを自在に切り替えること、さらにはそこに実在しないヒト・モノを浮かび上がらせることを可能にする技術を研究しています。その一つとして、虚実見分けのつかないレベルのプロジェクションマッピングの実現を目指しています。これにより、実素材が不要な工業製品の意匠・質感設計や、存在感を保ったまま遠隔の相手と対話するテレプレゼンスが可能になります(図1)。これは素材・物流コストを大幅に抑制しサステナブルな社会実現に寄与する技術です。

従来のプロジェクションマッピングには、プロジェクタと投影されている実物との間に利用者が入り込むと、映像が遮蔽されて影が生じる問題がありました。そこで、我々は空中像表示に用いられる特殊な光学系をプロジェクタに適用することで、影の生じないプロジェクションマッピング技術の開発に世界で初めて成功しました(図2)。

図1 オンライン会議で相手の臨場感を高める手腕プロジェクション
図2 影の生じないプロジェクションマッピング技術

研究の先に見据えるビジョン

実物サイバー化社会の実現によるQOL向上

プロジェクションマッピングとAIを組み合わせることで、現実空間とサイバー空間が継ぎ目なく融合したSociety 5.0の実現を目指します。身の回りの実物をサイバー空間に入力可能にし、プロジェクションマッピングによりそれを現実空間に出力します。これにより、利用者がいつでもどこでも低コストで計算機による支援(身体機能の補助など, 図3)を享受できるようになり、多様な人々のQOL向上につながります。

図3 車椅子利用者や高齢者が手腕の投映像を操作して直感的にコミュニケーション

担当研究者

准教授 岩井 大輔(基礎工学研究科)

キーワード

拡張現実/バーチャルリアリティ/プロジェクションマッピング/身体拡張/実物質感編集

応用分野

ポストコロナ・オンライン教育/遠隔手術/工業意匠・質感設計/身体機能の補助

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。