研究

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4Dマルチスケールライブイメージング 〜生きた細胞動態解析技術で治療に貢献〜

准教授 菊田 順一(医学研究科・生命機能研究科)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻)
  • 生命機能研究科

研究の概要

骨は、常に新しく生まれ変わるダイナミックな臓器です。加齢や炎症などにより、古い骨を溶かす「破骨細胞」と新しい骨を造る「骨芽細胞」(図1)のバランスが崩れると、骨粗鬆症や関節リウマチなどの病気になります。これらの病気を治療する上で破骨細胞と骨芽細胞の動態や機能を正しく理解することが大変重要です。私たちは最先端のライブイメージング技術を駆使して、生きたままの骨の中の細胞を4次元で解析する手法を開発し、生体内で破骨細胞が骨を溶かす様子や、骨芽細胞と相互作用する様子を捉えることに成功しました(図2)。また最近は、炎症性の骨破壊の制御因子を同定し、この因子を標的とした治療が関節リウマチの症状を改善することを解明しています。このように、ライブイメージング技術で生命現象のありのままの姿を可視化することで、病態を制御するメカニズムを解明することが可能になります。

図1 骨リモデリングの概念図
図2 生きたままの骨の内部のイメージング画像

研究の先に見据えるビジョン

画期的な治療薬開発や個別化医療の実現

我が国の疾病において、いわゆる生活習慣病や老化に伴う疾患が大きな影響を与えるようになっています。健康寿命をさらに延ばしていくために、こうした疾患への対応とともに早期診断等の重要性も増しています。したがって、全身の様々な臓器で病気が生じている現場を解析し、病態を制御する分子メカニズムを解明することは、画期的な治療薬の開発につながり、将来の健康寿命延伸の一端を担うと考えられます。

さらに、ライブイメージング技術は病態解明だけではなく、既存あるいは開発中の薬剤の薬効もリアルタイムで評価できるため、患者さんごとの薬剤の使い分けなど個別化医療へも貢献できる可能性があります。

担当研究者

准教授 菊田 順一(医学研究科・生命機能研究科)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2016/4nub9r/

キーワード

4次元マルチスケールイメージング/ライブイメージング

応用分野

骨の病気等に対する治療法開発/薬剤の薬効評価/個別化医療

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。