研究

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合成生態学の開拓に向けて ~複合微生物群集の制御と利用〜

教授 本田 孝祐(生物工学国際交流センター)

  • 全学・学際など
  • 生物工学国際交流センター

研究の概要

微生物を利用した化学品生産技術であるバイオプロセスは、持続型産業社会を構築するためのキーテクノロジーとして注目を集めています。これまでの研究では、遺伝子や酵素などの様々な生体分子を人為的に組みあわせ、天然には存在しない機能を有した微生物を育種することに取り組んできました(いわゆる合成生物生物学、図1左)。このような微生物を商業スケールで稼働させることにより、バイオ燃料などの多彩な化学品の発酵製造が可能です。同様の考え方に基づき、様々な微生物を人為的に組みあわせ、天然には存在しない機能を有した人工エコシステム(生態系)を創生し、ヒト腸内菌叢の改善や資源循環の促進などに資する新たなイノベーション、あるいはそれを達成するための学理や技術の構築(合成生態学、図1右)に取り組みたいと考えています。

図1 合成生物学および合成生態学の概念図

研究の先に見据えるビジョン

合成生態学で幅広い分野にイノベーションを

微生物群集内の相互作用について知見を得た先の目標として、これらの相互作用を制御し、微生物群集が関わる各種物質変換プロセス(廃水・廃棄物処理、土壌改良、発酵食品生産等)を任意にコントロール可能な技術体系を実現したいと考えています。将来的に、医療・農業・工業といった幅広い産業分野にイノベーションをもたらすことが本研究の究極的な目標です。一例を挙げますと、微生物群集の制御により、有機性廃棄物の再資源化効率と廃棄物処理産業の経済効率を高め、わが国におけるCO2排出量を年間30万トン削減することができます。この意味では、合成生態学はゲームチェンジングなテクノロジーと言えるのではないかと思います。

担当研究者

教授 本田 孝祐(生物工学国際交流センター)

キーワード

合成生物学/合成生態学/微生物群集

応用分野

廃棄物の二次資源化/CO2削減/環境/腸内菌叢の改善/化学品生産

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。