研究

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細胞内自己組織化の1分子イメージング ~細胞動態の原理解明と予測方法の開発~

助教 松岡 里実(生命機能研究科)

  • 医歯薬生命系
  • 生命機能研究科

研究の概要

細胞は、外部からの刺激がない環境でも、不規則に方向転換しながら運動する「自発性」を持っています。こうした細胞内自己組織化現象の解明は、生命機能発現の基本的な理解につながるため、大きな期待が寄せられています。我々は、1分子から1細胞への階層間ダイナミクス数理モデルの構築と、1分子粒度のシミュレーション法(図1)の開発を通じ、細胞の自己組織化の解明を目指しています。

具体的には、細胞の前後を決める分子の動きを解析し、細胞運動に方向性を与える酵素-基質システムの存在を明らかにすることで、運動する細胞の前後方向が決まる仕組みの一端を初めて解明しました(図2)。現在は、細胞運動を支配する進行波に注目し、高精度生細胞計測データに基づいて細胞動態を高い再現性で予測する方法の開発を進めています。これらは細胞運動の操作技術への応用や、がん細胞が浸潤、転移する仕組みの理解につながると期待されます。

図1 1分子粒度シミュレーション法
図2 自己組織化による細胞の前後決定

研究の先に見据えるビジョン

自己組織化原理から生命現象の問いに向き合う

我々が独自に開発してきた1分子イメージングなどのイメージング計測技術と統計解析法に、情報科学的手法を組み合わせた新規の予測方法を用いることで、自己組織化原理の解明を目指します。

担当研究者

助教 松岡 里実(生命機能研究科)

キーワード

1分子イメージング/自己組織化/細胞運動/1分子粒度シミュレーション

応用分野

細胞運動を操作する技術/がん細胞が浸潤/転移する仕組みの理解

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。