研究 (Research)

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複数の細胞から三次元組織を構築:創薬支援、再生医療から培養肉へ (Building three-dimensional tissue from multiple cells: from drug discovery support and regenerative medicine to cultured meat)

教授 松﨑 典弥(工学研究科) MATSUSAKI Michiya(Graduate School of Engineering)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 工学研究科・工学部 (Graduate School of Engineering, School of Engineering)

研究の概要

近年のiPS細胞研究の進展により、さまざまな細胞が作れるようになりましたが、細胞とタンパク質の複雑な三次元構造体である組織・臓器の再現はまだまだ困難です。ヒト三次元組織を作製できれば、薬や医療機器の効果判定や安全性評価のヒト予測が可能になると期待されています。

生体の実質組織は毛細血管や毛細リンパ管、免疫細胞、脂肪細胞が存在する重要な組織ですが、再現は困難でした。我々は、実質組織の緻密なコラーゲン線維構造を再現するため、コラーゲンナノ・マイクロファイバーを作製し、毛細血管や脂肪細胞を有する実質組織の再現に初めて成功しました。また、この組織工学技術を用いて血液脳関門(BBB)モデルやがんモデルを作製し、薬効・毒性試験への応用を検討しています。さらに、ウシの細胞を用いて筋組織や脂肪組織を構築することで、人工的に作製した食肉(培養肉)へ展開しています。

図1 コラーゲンマイクロファイバー水溶液(左)と顕微鏡写真(右)
図2 マウス移植3ヶ月後の脂肪組織(左)と免疫染色写真。緑は脂肪細胞、赤は毛細血管を示す
図3 ウシ細胞を用いて作成した1.5 cmの筋線維組織の免疫染色写真

研究の先に見据えるビジョン

安心・安全な健康社会に貢献する新規産業創出

再生医療技術や創薬スクリーニング、3Dバイオプリント、培養肉作製装置などに代表される研究が、日本の新しい産業技術となり、健康社会の実現や社会問題の解決だけでなく、基礎学問の深化が期待されます。

担当研究者

教授 松﨑 典弥(工学研究科)

キーワード

生体材料/組織工学/ナノ・マイクロ技術/3Dバイオプリント

応用分野

人工臓器/創薬/再生医療/培養肉

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。