研究 (Research)

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ラベルフリー超解像顕微鏡の開発 ~ナノスケールの生命現象をありのままに観察する~ (Development of label-free super-resolution microscopy – Observing life phenomena on the nanoscale as they really are)

講師 馬越 貴之(高等共創研究院) UMAKOSHI Takayuki(Institute for Advanced Co-Creation Studies)

  • 全学・学際など (University-wide, Interdisciplinary, etc.)
  • 高等共創研究院 (Institute for Advanced Co-Creation Studies)

研究の概要

近年、超解像蛍光顕微鏡の登場により、ナノスケールの世界の生命現象が化学的に観察可能になってきましたが、観察できるのはあくまで蛍光標識に限られています。また、物理学的アプローチに基づき電子集団量子状態を利用した超解像度顕微法は、撮像速度が遅いため生命科学分野では活用できていません。ナノの世界での生命現象をありのまま見ることは未だ実現されていないのです。

私は最近、世界に先駆け、光学顕微鏡における重要な計測機構の100倍以上の高速化に成功しました(図1)。この成果も生かし、量子的閉じ込め効果で生成する光を局在化させる技術を用いて、生命体をありのまま見るための鍵となる蛍光標識の不要な(ラベルフリー)超解像顕微鏡の開発(図2)に挑戦しています。成功すれば、生命科学を始め、様々な研究分野、関連する産業などを一変させるインパクトを生み出せます。

図1 世界に先駆け高速化に成功したプロトタイプ高速近接場顕微鏡
図2 開発を目指すラベルフリー超解像顕微鏡の概念図

研究の先に見据えるビジョン

ナノの世界の新発見の先導による新時代の開拓

17世紀後半にオランダで発明され、微生物や精子などを発見した単式顕微鏡を端緒とする光学顕微鏡は、その後の理論的・技術的改良を経て、様々な世紀の大発見を生み出し、生物学の新たな時代を切り拓いてきました。

私は、マイクロより上のスケールとは全く異世界が広がるナノスケールにおいて、生命体のダイナミックな状態が観察できる究極の顕微鏡・光計測装置を開発し、社会に実装、広く展開させたいと考えています。光学顕微鏡が歴史を先導してきたように、量子現象を用いてありのままのナノ世界を覗ける顕微鏡により次の時代を開拓し、生命科学に多くの大発見をもたらすことを目指します。

担当研究者

講師 馬越 貴之(高等共創研究院)

キーワード

ラベルフリー超解像顕微鏡/ナノスケール/ありのまま観察/光局在化/量子閉じ込め効果

応用分野

超精密医療機器/超精密創薬/新規計測・診断技術

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。