研究

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量子ビームで可視化する金属酵素の触媒化学の全貌

講師 溝端 栄一(工学研究科)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

研究の概要

生命科学の歴史上、生体高分子(タンパク質・核酸・酵素)が働く時に起こる立体構造変化の全貌を、原子レベルの解像度で捉えた事例は、未だ存在しません。これができれば、物質科学と生命科学と地球科学の分野がつながります。今、この野心的な課題に取り組んでいます。

具体的には、最先端の量子技術であるX線自由電子レーザー(XFEL)を応用した時分割連続フェムト秒結晶構造解析法(SFX)の開発を行っています。新手法を金属酵素の計測に適用し、触媒反応中に時々刻々と動く様子を、常温かつ放射線損傷のない状態で高精度に可視化した上で、酵素反応過程全体を完全解明することを目指しています(図1)。これが達成できれば、酵素化学における全く新しい研究・解析基盤が創出され、生命科学が新たなステージに進む革新的な知見を与えられると考えています。

図1 X線自由電子レーザー(XFEL)を応用した時分割連続フェムト秒結晶構造解析(SFX)技術の開発

研究の先に見据えるビジョン

窒素循環の解明・制御による地球環境保全

地球環境の保全の鍵は窒素循環にあります。窒素循環は微生物がもつ金属酵素群が担っており、土壌中の窒素含有量は農作物の収穫量に影響を与え、また、温室効果やオゾン層破壊能をもつ窒素酸化物の生成にも関与しています。私の研究は、将来、このような地球全体の窒素循環の解明や制御につながっていきます。

担当研究者

講師 溝端 栄一(工学研究科)

キーワード

量子ビーム/X線自由電子レーザー/時分割連続フェムト秒結晶構造解析/金属酵素

応用分野

地球環境保全/窒素循環の解明・制御/土壌改良/創薬イノベーション

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。