研究 (Research)

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微小空間での新たな光応答の探索 ~ナノ光プロッセシング・ナノ光イメージングへの応用~ (Exploring new optical responses in microspace – Application to nano-optical processing and nano-optical imaging)

准教授 伊都 将司(基礎工学研究科) ITO Syoji(Graduate School of Engineering Science)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 基礎工学研究科・基礎工学部 (Graduate School of Engineering Science, School of Engineering Science)

研究の概要

微小空間で起こる新たな光応答を探索し、ナノ操作・ナノ観察へ展開しています。一例を紹介します。超解像蛍光イメージングは光学顕微鏡のもつ非接触、非侵襲という特徴を維持しつつ、より高い空間解像度を実現する技術として注目されています。
超解像蛍光イメージングにおいては、蛍光のON-OFFスイッチングが可能な蛍光分子が重要な役割を担います。
一般に、蛍光スイッチには、OFFとON状態それぞれの吸収帯に対応する2波長の光源が必要でした。しかし私たちは、蛍光スイッチ分子であるジアリールエテン誘導体の開環体(蛍光OFF)の吸収帯の裾にあるホットバンドと閉環体(蛍光ON)の吸収ピークを一つの光源で同時に励起することで、蛍光ON↔OFFが実現できることを実験的に示しました(図1)。これにより、よりシンプルな装置で超解像観察や一分子観察が可能になります。

図1 ジアリールエテン誘導体の開環体を含む高分子薄膜を 532-nm 光で励起すると少数の開環体が閉環体へ異性化し、蛍光スポットとして検出される((b)左)。この手法では、光照射開始から3時間後でも蛍光観測可能である((b)右)

研究の先に見据えるビジョン

新研究分野の開拓を通じた様々な産業への貢献

室温・大気圧下で、分子からナノスケールの微小物体を光で自在に操る新手法を開発し、研究分野「ナノ光ケモメカニクス」を開拓します。その知見を、化学(ボトムアップ)的アプローチと物理(トップダウン)的なアプローチを止揚した「ハイブリッド光ナノメカノシステム」(図2)の構築や、物質(分子)と光の相互作用の自由度を最大限活用した単一ナノ物質に対する新分光法の開発などへ展開します。

図2 化学反応と光の力をハイブリッドさせた光ナノメカノシステム

担当研究者

准教授 伊都 将司(基礎工学研究科)

キーワード

ナノフォトニクス/単分子検出/ハイブリッド光ナノメカノシステム/ナノ光ケモメカニクス

応用分野

ナノ物性評価/高精度リソグラフィー用材料開発/超高感度分析/極微量検体診断

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。