研究 (Research)

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近未来の光・放射線治療に資する新しい特性をもった光機能ナノ材料の開発 (Development of photo-functional nanomaterials with novel properties for near-future phototherapy and radiotherapy)

准教授 小阪田 泰子 、教授 藤塚 守(産業科学研究所) OSAKADA Yasuko, FUJITSUKA Mamoru(SANKEN (The Institute of Scientific and Industrial Research))

  • 全学・学際など (University-wide, Interdisciplinary, etc.)

研究の概要

対象物の情報を可視化・画像化したり、機能を制御する基本技術として、光や放射線を用いたイメージングや光操作はバイオサイエンスや医療分野で活用されてきました。その中で、近未来の光・放射線治療に資する破壊的イノベーションの達成を目指し、我々は生体適合性の高いソフトなナノ材料からの硬X線励起発光を世界で初めて明らかにしました(図1)。
また、生体内で光化学反応を引き起こし、生体分子の機能を変化させうる光触媒の開発において、我々は1 nmの厚みの超薄層ポルフィリン二次元ディスクポリマーを有機化学的に設計・合成し、その可視・近赤外光応答性光触媒機能を示しました(図2)。このように、我々は生体機能操作等の画期的技術の開発に挑戦し、生命現象の理解や、がんや神経疾患への革新的な治療技術による新しい創薬・医療技術の開発を目指しています。

図1 硬X線励起発光の生体イメージングへの応用
図2 光触媒系の確立に向けた二次元ポルフィリンポリマーの開発
(図の出典:Osakada, Y. et al. Hard X-ray-induced optical luminescence via biomolecule-directed metal clusters. Chem. Commun. 50, 3549-3551 (2014))

研究の先に見据えるビジョン

ナノ材料によるイメージングの社会応用

現在、バイオサイエンスへの応用を目指し、新しい特性をもった光機能ナノ材料の開発、多色発光が可能になるようにと応用を進めています。さらに光化学的な原理を付加して、光信号のオンオフに応じて、発光したり、消光したりするナノ粒子の設計にも取り組んでいます。今後は、生体機能制御やDDS(ドラッグデリバリーシステム)分野で、発光バイオイメージングの手法を応用した新しい展開をしていきたいと考えています。基礎科学の基盤をしっかり構築していく研究を目指していますが、将来は疾病の治療や創薬に応用できる研究に進めたいと考えています。

担当研究者

准教授 小阪田 泰子 、 教授 藤塚 守(産業科学研究所)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2018/weetnj/

キーワード

二次元ポリマー/光触媒/生体イメージング

応用分野

光バイオセラピー/生体機能制御法の開発/ドラッグデリバリーシステム

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。