研究 (Research)

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高性能熱電変換ナノ材料の開発 ~安価で環境に調和したユビキタス元素の活用~ (Development of high-performance thermoelectric nanomaterials – utilisation of ubiquitous elements that are inexpensive and harmonised with the environment)

教授 中村 芳明(基礎工学研究科) NAKAMURA Yoshiaki(Graduate School of Engineering Science)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 基礎工学研究科・基礎工学部 (Graduate School of Engineering Science, School of Engineering Science)

研究の概要

これまで熱電変換材料には、レアメタルや毒性のある材料が使われることが多く、より安価で環境に負荷の少ない材料が求められています。我々は、ありふれた元素であるシリコンの極小なナノドット結晶を結晶方位をそろえて連結した材料を形成する技術を開発しました。この技術により、世界最小熱伝導率の結晶シリコン熱電変換材料の創製に成功し、熱電発電効率向上の指針を見出しました(図1)。また、窓ガラスの室内外温度差を利用した熱電発電のための透明熱電材料の研究にも取り組んでいます。その結果、安価で無毒な酸化亜鉛(ZnO)を使って、ナノワイヤを薄膜中に埋め込んだ構造を世界で初めて作成しました。このナノワイヤZnO材料(図2)では、ナノワイヤ未導入ZnO薄膜と比べ、熱電変換出力因子を約3倍増大することができます。これにより、窓に貼り付けるだけで未利用熱を電気として回収できる熱電変換素子の開発が期待できます。

図1 社会実装可能な熱電発電に向けた世界最小熱伝導率を誇る独自シリコンナノ材料波計
図2 室内外の温度差をもつ窓ガラスからの熱電発電を可能にする透明熱電ナノワイヤ材料

研究の先に見据えるビジョン

熱電ナノ材料を搭載したIoT社会

ナノ構造高性能薄膜熱電電源をセンサに組み込むことで、IoT社会における新たな生活様式を支えるための遠隔通信サービスを可能にします。これにより、人々の暮らしだけでなく、医療・農業などの幅広い社会分野を支えることを目指します。

担当研究者

教授 中村 芳明(基礎工学研究科)

キーワード

熱電変換材料/ナノドット結晶/結晶方位/透明材料/ナノワイヤ/ユビキタス元素

応用分野

次世代IoT/ウェアラブルセンサー用電源/センサ組み込み高性能薄膜熱電電源

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。