研究

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水と光でつくる究極の新エネルギー ~金属錯体化学を基盤とした人工光合成〜

教授 正岡 重行(工学研究科)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

研究の概要

無尽蔵に降り注ぐ太陽光エネルギーを用いて化学エネルギーを作り出す「人工光合成」の構築は、実用化に成功すれば世界のエネルギー問題が一挙に解決可能なほど、極めて挑戦的でインパクトの大きな研究課題です。我々は、光・電子・プロトンの媒介役として金属錯体を用い、光によって水や二酸化炭素などの小分子を自在に活性化することで「人工光合成」を達成に導く基盤技術の開発を目指しています。
これまでに、ルテニウム-ポリピリジル錯体(図1)が電気化学的および光化学的な刺激により二酸化炭素の還元反応や水の酸化反応の触媒として機能することを報告してきました。また、鉄五核錯体(図2)が水の酸化反応を非常に効率よく行う触媒となることを見出しました。これらの成果は、今後の人工光合成の触媒開発の重要な指針となることが期待されます。

図1 二酸化炭素を光化学的に還元するルテニウム錯体触媒
図2 水を酸化して酸素を作り出す鉄五核触媒

研究の先に見据えるビジョン

人工光合成の礎を創りエネルギー問題に挑む

そもそも光合成の仕組みの詳細は未だ明らかになっていません。植物は試行錯誤を繰り返し光合成システムをつくり上げる中で、キーとなる物質に金属錯体を選びました。まずは光合成に倣い、金属錯体に関する基礎的な研究を積み重ね、人工光合成実現を経て、エネルギー問題からの解放を目指します。

担当研究者

教授 正岡 重行(工学研究科)

キーワード

人工光合成/金属錯体/二酸化炭素還元/水の酸化/電気化学/光化学/触媒

応用分野

クリーン燃料の生産/二酸化炭素から化学物質の生産

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。