研究

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「木を観て森も観る」トランススケールイメージング技術の開発

特任准教授 市村 垂生(先導的学際研究機構)

  • 全学・学際など
  • 先導的学際研究機構

研究の概要

従来のバイオイメージングは、ミクロ(分子、細胞)かマクロ(組織、個体)、いずれかの空間スケールに特化せざるを得ず、両レベルの間でしばしば相反する結果が生じることが知られていました。これは、医学を含む様々な生命科学研究を発展させる上で解決すべき重要な課題です。
我々はこのスケール分断をつなぐ「木も森も観る」システム、つまり同一標本において、ミクロな精度でマクロな時空間動態を解析できる、世界で唯一無二のトランススケールスコープ「AMATERAS」の開発に取り組んでいます。
神経科学研究のホットトピックである全脳イメージングに向けて、これまでにマウス脳切片において、従来の方法と比べて数百倍と、格段に速い蛍光多重染色サンプル撮像が可能となりました(図1)。さらに、人工組織の対角1.8 cmの視野内で、1細胞レベルの空間分解能でのライブイメージングにも成功しています。

図1 AMATERASによるマウス脳切片の撮像例。対角1.8 cm視野中の個々の細胞のイメージングに成功

研究の先に見据えるビジョン

イメージングによる生命システムの統合的理解へ

AMATERASは、「分子〜細胞〜臓器」レベルのスケール縦断的かつ高解像度、高速、長時間のイメージングを可能とするイメージングプラットフォームを目指しています。さらに、生きたまま、3次元かつ時系列で複数の情報を取得することも見据えています。巨大な生命システムを、イメージングで全空間・全時間的に計測・解析・検証することで、生命システムの統合的な理解に挑戦します。

担当研究者

特任准教授 市村 垂生(先導的学際研究機構)

キーワード

細胞イメージング/顕微鏡/マルチモダリティ/多変量ビッグデータ/情報マイニング

応用分野

再生医療/細菌・ウイルスの迅速検査/食品検査/未病診断/個別医療

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。