研究

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動物の老化・寿命を制御するコアメカニズムの解明

准教授 中村 修平(高等共創研究院)

  • 全学・学際など
  • 高等共創研究院

研究の概要

老化および寿命の決定メカニズムは科学的にはいまだ未知の部分が多い中で、最近の研究において、老化や寿命も遺伝子や環境によって「制御」されていることがわかってきました。例えば動物実験により、カロリー制限、インシュリンシグナルの抑制、生殖細胞の除去等が寿命の延伸要因であることが示されています。これらを行うと、細胞内自己分解システムであるオートファジーが活発化し、オートファジーを働かないようにした動物では同じ処置をしても寿命が伸びないことからオートファジーが寿命決定の鍵を握っていることが示唆されます。近年の私たちの研究で、オートファジーの多彩な生理機能が明らかになり、老化や寿命の制御にも重要な役割を果たすことがわかっています。オートファジーの機能は不明な点が多いものの加齢により多くの動物でその機能が低下することがわかっており、機能低下を防ぐことで寿命の延長が期待できます。

図1 オートファジーは多くの寿命延長個体で共通して活性化されその働きが寿命延長に必須である  
図2 オートファジーが活発化している様子を可視化した動物(矢頭)  

研究の先に見据えるビジョン

老化メカニズムの解明と老化抑制技術の確立

オートファジーを制御するいくつかの鍵分子に焦点を当てた解析を通し、オートファジーによる抗老化、健康寿命延伸の分子基盤を明らかにしたいと考えています。未曾有の超高齢化社会を迎える我が国において、老化メカニズムの解明とそれに基づいた健康寿命の延伸は緊急に解決すべき課題です。将来的にはこれら明らかにしたメカニズムに立脚し、個々の老化度合いを測定し、老化を抑制することができる技術の確立を目指します。

担当研究者

准教授 中村 修平(高等共創研究院)

キーワード

老化/寿命/オートファジー

応用分野

老化抑制/健康寿命の延伸/加齢性疾患の治療

※本内容は大阪大学 経営企画オフィス制作「大阪大学若手研究者の取組・ビジョン2020」より抜粋したものです。