研究

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Deep-learning image reconstructionを用いた胸部CTにおける縦隔条件の画質向上の検討(Investigation of image quality improvement of mediastinal conditions in chest CT using deep-learning image reconstruction)

助教 秦 明典(医学系研究科 放射線医学) Hata Akinori(Graduate School of Medicine)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻)

研究の概要

本研究ではCTの画像再構成法であるdeep-learning image reconstruction(DLIR)について、胸部CT の縦隔の評価における画質を評価した。DLIR は Deep learning の技術を用いて CT ベンダーが開発した新しい再構成法である。評価は比較的新しい画像再構成法の一つである逐次近似法(ASiR-V)と比較して行った。DLIR は ASiR-Vと比較して細かなノイズの質感を維持しながら、画質向上が得られた。
ただし、今回用いた DLIR は軟部組織用として設計されており、小血管など高分解能が求められる領域では不向きであることが示唆された。

研究の背景と結果

CT の画像再構成は逐次近似法の出現により大きな改善がみられた。古典的な再構成法であるfiltered back projection (FBP)と比較して、逐次近似法は効果的にノイズ低減が得られるが、ノイズテクスチャの変化を伴うため、強い逐次近似法による画像は臨床上好まれないことが多い。近年、CT ベンダーが新しく DLIR を発表し、臨床的に利用可能となった。
対象は2019年2月に胸部造影 CT を施行し、DLIR(TrueFidelity; GE Healthcare Technologies)で画像再構成をした36名の患者である。画像再構成はFBP、ASiR-V(強度設定60%、100%)、DLIR(強度設定 low、med、high)を用い、6種類の画像を得た。
定 量 評 価 と し て、ノ イ ズ、Signal-to-Noise Ratio (SNR)、con trast-to-noise ratio (CNR)を計測した。視覚的評価として2人の放射線科医が独立して画質を5段階評価で行った。ノイズテクスチャの微細さを3段階評価で評価した。
定量評価では DLIR-med と DLIR-high は ASiR-V60% と比較して、有意にノイズが少なく、高い SNR・CNR を呈した(p<0.0001)。ASiR-V100% と比較して、DLIR-high はノイズ、CNR は同等であった(p>0.05)。DLIRはlow、med、highの順にノイズは有意に少なく、SNR・CNR は有意に高かった(p<0.0001)。
視覚評価では DLIR-high は他の再構成法と比較して、ノイズ、ストリークアーチファクト、全体的な画質で最も高いスコアを呈した(p<0.001)。小血管の明瞭さについては DLIR-med と DLIR-high はASiR-V60% と比較して有意に低いスコアを呈した(p<0.0001)。ノイ ズ テ ク ス チャ の 視 覚 評 価 で は DLIR-high は ASiR-V60%、ASiR-V100%と比較して微細なノイズパターンを呈した(p<0.0001)。

研究の意義と将来展望

新しい画像再構成法である DLIR は、軟部組織条件の画像として画質向上が得られており、臨床上有用である可能性が示された。今後の展望として、具体的な疾患(食道癌、胸腺腫瘍など)について診断能を評価することが考えられる。さらに、extracellular volume、ラジオミクスなどの解析への応用についても検証が必要である。また、CT では放射線量を低減すると画質劣化が問題となるが、DLIR の画質改善効果を利用して線量低減の検証も検討している。

担当研究者

助教 秦 明典(医学系研究科 放射線医学)

キーワード

CT/画像再構成/Deep learning

応用分野

医療・ヘルスケア/診断

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2023(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。