研究 (Research)

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高精度テラヘルツ波エリプソメトリによる6G材料・ワイドギャップ半導体評価 (Terahertz ellipsometry with high precision for 6g materials and wide bandgap semiconductors)

准教授 中嶋 誠(レーザー科学研究所) NAKAJIMA Makoto(Institute of Laser Engineering)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • レーザー科学研究所 (Institute of Laser Engineering)

English Information

研究の概要

我々は、新規に回転検光子を導入した高精度のテラヘルツ時間領域エリプソメトリを開発しました。この方法により、既存の検出感度を10倍以上に高めることに成功し、テラヘルツ領域・Beyond 5G 領域における誘電率や誘電ロス、複素屈折率を高精度に評価することが可能となりました。非破壊・非接触で6G 材料やワイドギャップ半導体(GaN, SiC, Ga2O3)等の伝導特性を評価でき、従来のような電極作製を必要とせず、高温等の極限環境での評価も可能である。

研究の背景と結果

ワイドギャップ半導体の伝導特性評価は、ホール測定やCV測定といった電気的評価で実施されてきました。テラヘルツ波は、周波数にして、0.1 – 10 THz 相当の電磁波を指します。テラヘルツ波を用いた光学的な評価により、電極作製が不要で、非破壊・非接触で、キャリア濃度や移動度・散乱時間といった電気伝導特性を評価することが可能となりました。新たに導入した回転検光子の方法で、測定精度を10倍以上に高めることにより、10の15乗から20乗(1015 -1020 cm-3)台のキャリア濃度評価にも成功しています。移動度の測定では、試料の異方性に対応した測定も可能であり、面内異方性や面外の異方性の評価も今後対応していく予定です。
6G 材料評価においては、サブテラヘルツ領域における、誘電率や誘電ロスといった特性評価が可能であり、絶縁基板や吸収体をはじめ、メタマテリアル等の人工物質における特性評価も可能となっています。
次世代通信帯域である超高周波領域において正確な伝導特性、誘電率特性の評価は新デバイス開発に必須の項目であり、我々が開発した上記の技術が利用されることを期待しています。

高精度テラヘルツエリプソメトリのイメージ
ワイドギャップ半導体酸化ガリウムβ-Ga2O3のテラヘルツ領域屈折率スペクトル

研究の意義と将来展望

Beyond 5G や 6G は次世代の通信規格として開発が急ピッチに進められており、これらの通信帯は、サブテラヘルツの周波数領域に相当します。 GaN や SiC, Ga2O3を始めとするワイドギャップ半導体は、パワーデバイスや高周波動作デバイスとして期待されています。テラヘルツエリプソメトリやテラヘルツ時間領域分光により、これらの先進材料の伝導特性評価(キャリア濃度や移動度、散乱時間等)や高周波領域における誘電率や屈折率評価が可能です。

担当研究者

准教授 中嶋 誠(レーザー科学研究所)

キーワード

テラヘルツ波/非破壊非接触評価/半導体/6G/Beyond 5G

応用分野

先進材料評価/情報通信/半導体デバイス

参考URL

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210915_2
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210126_3
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2022/20221021_1

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2023(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。