研究

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超高難度メタン酸化反応を活用した新反応の開発と高分子材料・デバイスへの応用

教授 大久保 敬(高等共創研究院)

  • 理工情報系
  • 理学研究科・理学部
  • 蛋白質研究所
  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(医学専攻)
  • 薬学研究科・薬学部
  • 生命機能研究科
  • 全学・学際など
  • 高等共創研究院
  • 先導的学際研究機構

取組要旨

亜塩素酸イオンを主成分とする除菌消臭剤の創薬相談から水性のラジカル活性種の生成メカニズムを解明したことを機に超高難度酸化反応であるメタン酸化の反応が発見された(Angew. Chem. Int. Ed.(2018))。本発見を基に「安全な酸化剤による革新的な酸化反応活性化制御技術の創出」と題した様々な応用化研究が推進されており、メタノール合成以外にも様々な酸化反応が高効率、かつ、安価に進行し、低炭素社会の構築に貢献できる可能性を秘めている。また、プラスチック表面のみに酸素官能基を導入して親水化を付与でき(Chem Comm, 2019)、抗菌性を付与したり(J. Mater. Chem. B, 2023表紙に掲載)、薬剤徐放性を付与したり(Polym. J. 2023表紙に掲載)、マグネシウムイオン電池のためのセパレーターの耐久性を従来の40倍以上も向上させたことでも注目されている。メッキや接着など、様々な材料の高機能化が可能であったほか、理化学機器や医療機器への応用化も可能で、総説を発表したところ、Most read articleとしてツイートされた(Chem Comm., 2023)。中でもクライオ電子顕微鏡のツールへの応用化研究では、創薬標的のタンパク質をグラフェン膜上に固定化して整然と並べることが可能で、試料調製の大幅な時間短縮を可能とし(Sci. Rep., 2023)、サイエンス(Nat. Commun., 2023)や、新型コロナウイルスに対する抗体開発(Comm. Biol., 2022)をはじめ創薬にも貢献できる技術になりつつある 。

研究成果・インパクト

プラスチックや材料の成型加工後の酸素官能基の導入と化学修飾が簡便にできるようになった。マグネシウムイオン電池のセパレーターの開発や、グラフェン膜上へのタンパク質固定化キットの開発が進行中で、クライオ電子顕微鏡を用いた創薬標的タンパク質の迅速構造解析が可能となっている。医療材料も含め応用範囲は極めて広く、インパクトも大きい。

担当研究者

大久保 敬(高等共創研究院)、板橋 勇輝(先導的学際研究機構)、淺原 時泰・井上 豪・青山 浩・荒川 真・谷野 弘樹 (薬)、難波 啓一・牧野 文信・藤田 純三・宮田 知子(生命機能)、馬場 耕一・西田 幸二(医)、豊田 岐聡(理)、中川 敦史・藤原 敏道・加藤 貴之・高木 淳一・廣瀬 未果(蛋白研)

キーワード

超高難度酸化技術を用いた高分子表面酸化修飾/セパレーター/マグネシウムイオン電池/デバイス

応用分野

燃料電池/セパレーター/マグネシウムイオン電池/生分解性ポリマー/医療機器・理化学機器の開発