研究 (Research)

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CFRP/Steelレーザ溶接やCFRP/Aluminum抵抗スポット溶接の強度試験と数値解析 (Joint strength and numerical modelling of laser welding for CFRP/Steel and resistance spot welding for CFRP/Aluminum)

教授 麻 寧緒(接合科学研究所 機能評価研究部門) MA Ninshu (Joining and Welding Research Institute)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 接合科学研究所 (Joining and Welding Research Institute)

English Information

研究の概要

レーザ熱源と電気抵抗熱源をそれぞれ用いて、性質が全く異なるCFRP(カーボン繊維強化樹脂材)と金属(高張力鋼板、アルミ合金)を直接接合する熱・力学プロセスを、開発した数値解析モデルにより再現し、実験で観察できない内部の温度分布、CFRP の溶融領域と分解領域を定量化し、接合メカニズムを解明した。
接合界面の温度範囲を CFRP の溶融温度以上と分解温度以下に制御することは、CFRP と金属を接合する必要条件となることが分かった。接合継手にはこの温度範囲が広いほど、接合継手の強度が高くなる。より詳細な研究を行ったことで、レーザ溶接条件(熱量)と CFRP/Steel の接合強度、抵抗スポット溶接の電流など(発熱量)と CFRP/Aluminum の接合強度に関する相関関係を明らかにした。

研究の背景と結果

自動車の省エネ化・グリーン化を図るため、エンジ効率や電池性能の向上に関する研究開発を行うと共に、車体の軽量化も期待されている。そのため、軽量材料である樹脂複合材(CFRP)、軽金属(Aluminum、Magnesium など)と高張力鋼板(High Strength Steel)を適所適材にしたマルチマテアリアルの車体設計や接合技術の研究開発が必要不可欠となる。
本研究では、CFRP/Aluminum の抵抗スポット溶接技術や CFRP/Steel のレーザ溶接技術を対象とし、接合メカニズムを明らかにし、接合強度を支配する温度範囲とその領域の大きさを数値解析で予測し、溶接条件の適正化指針を提案した。さらに DT/DX というデジタルシステムを構築し、GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に貢献する。

研究の意義と将来展望

モノづくり現場において、生産性の向上および製品の品質保証のため、デジタル化制御と可視化が必要不可欠となる。それらを支援するデジタルシステムとして、DT(デジタルツイン)や DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されている。
本研究では、まず CFRP/Aluminum の抵抗スポット溶接による温度場、溶接寸法および引張りせん断強度を定量化・可視化した DT を構築し、生産現場で使用する CFRP 板と Aluminum 板の寸法変更に伴う溶接条件の提案や溶接結果の予測をリアルタイムで支援することが可能になってきている。
CFRP/Steelのレーザ溶接の研究成果を実用に展開するために、実験・解析データを蓄積して、ML(マシンラーニング)による予測技術と DTを構築しなければならない。

担当研究者

教授 麻 寧緒(接合科学研究所 機能評価研究部門)

キーワード

鋼/CFRPレーザ溶接/Al/CFRP片側抵抗スポット溶接/RSWデジタルツイン

応用分野

デジタルものづくり技術

参考URL

http://www.jwri.osaka-u.ac.jp/research/research03_1.html
https://researchmap.jp/ma.ninshu

※本内容は大阪大学共創機構 研究シーズ集2024(未来社会共創を目指す)より抜粋したものです。