研究 (Research)

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交通事故を減らすための人間科学的研究 (Human science research to reduce road traffic accidents)

中井 宏(人間科学研究科) NAKAI Hiroshi(Graduate School of Human Sciences)

  • 人文学社会科学系 (Humanities and Social Sciences)
  • 人間科学研究科・人間科学部 (Graduate School of Human Sciences, School of Human Sciences)
  • 取組完了・終了済

取組要旨

交通事故の原因として、人間が関与するものが9割以上とされている。現在、自動運転技術の開発が進められているが、完全自動運転の実現はまだまだ遠く、ある程度の自動化が進んだ場合にも人間による操作は必要不可欠である。また道路環境整備により安全対策を実施しても、時間経過とともに効果が小さくなることや、副作用的に不安全行動が増加する場合があるため、人間心理への介入が重要と言える。

これまでの研究により、不安全行動にはある程度の一貫性があることを確認し、その背景には不適切なメタ認知(例:高すぎる自信や他者視点の欠如)が関わっていることを明らかにした。また、運転中のネガティブ感情(イライラや焦り)が攻撃的運転に繋がることを示し、主にプロドライバーを対象にした調査から効果的な感情制御方法の例を収集した。運転中に平常心を保つことは「あおり運転」の防止にも有用である。

こうした知見を多くのドライバーに周知するとともに、普段の運転ぶりを「見える化」するためのツール開発を通じて、危険な運転を減らすための研究を進めている。

研究成果・インパクト

国内では2020年頃まで交通事故件数・死者数とも順調に減少していたが、その減少傾向は下げ止まり、2025年までに死者2,000人以下とした第11次交通安全基本計画の目標達成はほぼ困難な状況である。2026から始まる第12次交通安全基本計画では、2030年までに死者を1,900人以下にすることを目指している。

世界に目を向けると、SDGsのゴール3、ターゲット6でも、2030年までに世界の道路交通事故による死傷者を半減させることが掲げられている。発展途上国の中には負傷者数の正確な統計がない国もあるが、世界保健機関(WHO)によれば年間約120万人が交通事故で命を落としており、世界的には依然として死傷者数が高い水準で推移している。

交通事故防止のための研究や実践を継続しなければ状況は改善されず、一つ一つの取り組みの効果は小さくても、継続することが重要である。

担当研究者

中井 宏(人間科学研究科)

キーワード

交通事故防止、交通心理学、メタ認知、感情制御、あおり運転

応用分野

交通工学、安全教育学、人間工学