研究 (Research)

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惑星的課題とローカルな変革

森田 敦郎・モハーチ ゲルゲイ(人間科学研究科)

  • 人文学社会科学系 (Humanities and Social Sciences)
  • 人間科学研究科・人間科学部 (Graduate School of Human Sciences, School of Human Sciences)

取組要旨

「人新世(じんしんせい)」(英語:Anthropocene)とは現在審議中の新たな地質年代で、二酸化炭素(CO2)の排出などによって、地球環境が文明の存続を脅かす状態に移行しつつあることを意味している。人新世の環境変化は人間活動によって引き起こされているため、その抑制には、消費の削減などの日常生活の変容や経済成長中心の社会の再考などが不可欠である。ここでは、消費や日常生活のような人間の行為のスケールの事象が、惑星スケールの環境変化と結びつく環境政治の新たな状況が生じている。
本研究の目的は、人新世におけるこの二つのスケールの関係を明らかにすることである。そのために、本研究では、持続可能な世界を目指す社会運動の国際的ネットワークを取り上げる。これらの運動は、日常生活とそれを支えるインフラストラクチャーを作り変えることで環境負荷を削減しようとしている。ここでは、この試みの中で形成される環境、人々、科学技術の結びつきの分析をとおして、生活の変容という人間行為のスケールの事象と惑星スケールの環境変化の間に生まれつつある新たな関係がいかなるものかを明らかにする。

研究成果・インパクト

気候変動に対応して、インフラストラクチャーを作り替えようとする草の根の運動のポンテシャルを明らかにすることで、気候変動対策における市民参加の需要性を明らかにすることができる。気候変動対策では、政府中心のトップダウンの方法の限界が明らかになる中で、草の根のイニシアチブの重要性が高まっている。本研究は、こうした流れを踏まえた上で、草の根の運動が果たしうる貢献を明らかにすることで、気候変動対策のあり方にインパクトを与えうる。

担当研究者

森田敦郎、モハーチ・ゲルゲイ(人間科学研究科)

キーワード

気候変動、人新世

応用分野

ソーシャル・デザイン