研究
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環境をめぐる権利の拡大とSDGsの指標改善
大久保 規子(法学研究科)、松本 和彦(高等司法研究科)ほか16名、あおぞら財団
取組要旨
現在,私たちは気候危機や生物多様性の危機をはじめ,地球規模のさまざまな環境問題に直面しています。洪水,猛暑等の被害が深刻化するにつれて,環境問題は人権問題であるという認識が広がり,国連に加盟している3分の2以上の国が環境権を認めるに至っています。また,現在の世代だけではなく,将来世代の権利や自然の権利を認める国も現れています。本研究では,「自然の権利の理論と制度」(科研基盤A),「タイにおけるコミュニティ参加型水・森林管理法の執行強化に関する制度的・実態的研究」(科研・国際共同B)及び「SDGs指標の改善を通じた環境サステナビリティの促進」(SSI基幹プロジェクト)の支援を受けて,環境政策に参加する権利も含め,環境に関する多様な権利の体系化を目指すとともに,それらの権利の実現に向けたガバナンスのあり方について,法学,社会学,経済学,倫理学等の研究者による超域的・国際的な研究を進めています。
研究成果・インパクト
「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030アジェンダ」は,すべての人々の人権の実現を掲げ,実効的な法の支配の重要性を強調しています。SDGsの多くの目標は環境に関連していますが,情報公開,参加,司法アクセスの保障等を掲げる目標16の推進は,持続可能な発展と不可分のガバナンスの原則を示しており,すべての目標の基礎となるものです。本研究は,環境に関する権利を確立し,地域に根ざした方法で環境と発展の統合を推進するために,政策の決定方法や訴訟制度も含め,ガバナンスの改革の方向性を示すことを目指しています。
担当研究者
大久保規子(法学研究科)、共同研究者:松本和彦(高等司法研究科),原圭史郞(工学研究科),上須道徳(経済学研究科),礒野弥生(東京経済大学・名誉教授),井上真(早稲田大学),大塚健司(アジア経済研究所),大塚直(早稲田大学),高村ゆかり(東京大学),鳥谷部壤(摂南大学),柳憲一郎(明治大学・名誉教授),山下英俊(一橋大学),伊達浩憲(龍谷大学),寺内大左(筑波大学),百村帝彦(九州大学),藤井絋司(千葉商科大学),二見絵里子(朝日大学),渡辺理和(甲南大学・非常勤講師),あおぞら財団
キーワード
環境権,参加原則,自然の権利
応用分野
公法学,新領域法学