研究

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家庭血圧計を用いたセルフモニタリングで健康長寿のまちづくりをする

神出 計・樺山 舞(医学系研究科)

  • 医歯薬生命系
  • 医学系研究科・医学部(保健学専攻)

取組要旨

寿命の延伸、高齢化進展に伴い、認知症やフレイルなど、加齢に伴う身体の衰えである老年症候群への対策が課題である。老年症候群の発症・進展予防には、青壮年期からの高血圧など生活習慣病の予防・管理が重要と考えられるが、これまでの研究からは、老年症候群に対する予防医学的知見は十分に得られていない。家庭血圧は日常的で手軽な健康情報であるが、行政による介入として医療にかかっていない人々を含めて、家庭血圧測定が、代表的な老年症候群である認知症・フレイル・要介護状態を減らし、一般住民の健康寿命を延伸するかについては証明されていない。そこで我々は、大阪府能勢町(人口9750人、高齢化率39%)において、家庭血圧測定が、認知症やフレイル、要介護状態、また脳・心血管疾患を予防し、町民の健康寿命を延伸するかを検証することを目的とした、能勢町・大阪大学・オムロン・ヘルスケア社による産官学連携研究 (能勢研究; のせけん)を計画した。2020年度から開始する5年間の研究プロジェクトであり、40歳以上の能勢町民を対象に、1000名以上のエントリーを目指している。最初の2年間は町を、家庭血圧測定・非測定地区に分け、認知機能 (MOCA-J)や、フレイル関連指標(歩行速度・握力など)、心血管疾患発症やレセプトによる医療費、要介護認定率などを検討する。2年後からは全地区で家庭血圧測定を促し、前述アウトカムを検証する。

研究成果・インパクト

超高齢化がますます加速する我が国において介護予防が重要となる。その中で大きな課題が認知症予防策である。本研究事業において、家庭での自己血圧測定・記録が脳心血管疾患の発症予防のみならず、認知・身体機能の維持につながり、認知症やフレイルといった老年症候群の予防につながることが明らかになれば、健康寿命延伸、誰もが一生住み続けられるまちづくりにもつながります。

担当研究者

神出 計、樺山 舞(医学系研究科)

キーワード

産官学連携、家庭血圧測定、認知症予防、健康寿命延伸

応用分野

医学