研究

最終更新日:

ゲノムワイドアプローチを用いた日本人侵襲性歯周炎の疾患関連遺伝子探索

村上 伸也(歯学研究科)

  • 医歯薬生命系
  • 歯学研究科・歯学部

取組要旨

この取り組みでは、遺伝的要因の強い侵襲性歯周炎罹患患者を対象に、ゲノムワイドアプローチを用いて歯周病の発症・進行に関わる疾患関連遺伝子の抽出を行い、8個のSNPを疾患関連遺伝子として同定した。さらに、同定された関連候補遺伝子群の内、GPR126, SMPD3, PON1, LIPAおよびCLSPNの歯根膜細胞における機能を明らかにした。そして、これらの成果に基づいて、まずは日本人を対象として、侵襲性歯周炎患者のゲノム情報のデータベースを構築し、そのデータベースを国立遺伝学研究所内のDNA Data Bank of Japan (JGAS00000000024ならびに40) に登録し、世界中に公開した。構築されたデータベースは、今後、侵襲性歯周炎に対する新たな診断法や治療法の開発に繋がる基盤情報として活用できるという点で評価され、本研究の成果は、J Dent Res誌 (IF:7.6) , PLos One 誌 (IF:3.752) およびJ Periodontal Res誌 (IF:3.5) といった世界的な学術雑誌に掲載された。現在、12校の歯科大学と連携して侵襲性歯周炎患者のゲノム検体数の拡充を推進することにより、新しいデータベースの構築および更なる新規疾患関連遺伝子の同定とその機能解析に取り組んでいる。

研究成果・インパクト

歯周病は、心疾患、脳血管疾患、糖尿病など様々なcommon diseaseに対するリスクファクターであることが示されている。本研究の成果に基づいて、歯周病に対する遺伝的要因を科学的に診断できるようになれば、開発途上国を含むすべての国々における健康危険因子の早期警告や危険因子の緩和、ならびに危険因子管理能力の強化が可能となる。世界規模でのすべての人々に財政リスクからの保護と質の高い基礎的な保健サービスへのアクセスをもたらし、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に貢献するものと期待される。

担当研究者

村上 伸也(歯学研究科)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2020/specialite_001_4/

キーワード

歯周病、口腔、ゲノム解析

応用分野

医学、健康、福祉