研究

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外来微粒子により誘導される間質性肺炎の解析と制御法の開発

武村 直紀・田浦 学・齊藤 達哉(薬学研究科)

  • 医歯薬生命系
  • 薬学研究科・薬学部

取組要旨

間質性肺炎は肺線維症に発展しうる重篤な疾患であり、多くの場合に原因不明に発症・進行する。近年、諸外国においてその患者数は増加の一途を辿っており、病態理解と治療法開発が強く求められている。間質性肺炎を引き起こす環境的要因として、空気中を漂う数μm以下の微粒子が知られており、例としてPM2.5や黄砂などの大気汚染物質、またシリカ、アスベスト、酸化チタンなどの工業用マテリアルが挙げられる。重要なことに、これらのような微粒子は、細胞を外から刺激して免疫機構を活性化し、炎症応答を誘発するという共通の性質を持っている。我々はPM2.5や黄砂の主成分であるシリカの微粒子を用いてマウスに間質性肺炎を誘導し、病態形成のメカニズムを免疫学の観点から解析しているとともに、微粒子による炎症応答を抑えて間質性肺炎の予防・治療をもたらす効果的な薬剤の開発を行っている。

研究成果・インパクト

微粒子による間質性肺炎は、世界中の誰しもが罹患しうる疾患である。微粒子を含む大気は、先進国や発展途上国はもちろんながら、その近隣諸国にも流れ、多くの人々がその脅威に晒されている。また、微粒子が原因として発症する疾患は間質性肺炎だけではなく、アレルギー、自己免疫疾患、生活習慣病なども含まれる。本研究にて得られる間質性肺炎の病態形成メカニズムや治療薬開発に関する科学的知見は、間質性疾患を含めた微粒子誘導性の疾患に悩む世界中の人々の健康増進に資するものと期待される。

担当研究者

武村 直紀・齊藤 達哉(薬学研究科)

キーワード

微粒子、間質性肺炎、免疫

応用分野

薬学、免疫学、毒性学、衛生学、呼吸器内科学