研究 (Research)

最終更新日:

金属と炭素繊維強化樹脂の新たな接合

安田 清和(工学研究科)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 工学研究科・工学部 (Graduate School of Engineering, School of Engineering)

取組要旨

気候変動防止のためのCO2排出削減の具体的対策として輸送機器の軽量化と、持続可能な生産消費のためのリサイクル・解体性を担保し得るマルチマテリアル化を推進する必要がある。軽く強靭な炭素繊維強化樹脂(以下、CFRP)と金属材料を対象としたハイブリッド加工組立において、効率・品質・リサイクル能を兼ね備えた革新的工法が重要となる。金属表面にナノスケールの微細凹凸構造を形成し、比較的低入熱でも樹脂の微細投錨効果による接合部強化を発揮する新奇な異種材接合に取り組んでいる。広く車体構造に採用される多様な実用金属材料に特異微細表面構造を形成することで、CFRP部材と各種実用金属部材間の異種材ハイサイクル加工・接合への適用が期待できる。事例として、種々の軽合金(Al、Ti、Mg合金)や冷間圧延鋼(SPCC)等の各種実用金属のナノ表面構造化による熱可塑性CFRPとの異種材直接接合を実施した(図1)。プラズマ電解酸化やレーザー照射による微細表面構造形成と、熱加圧、マイクロ波、超音波エネルギーによる局部非平衡加熱を組み合わせることにより、金属部材の接合変形や材料組織の劣化をほとんど伴わない高効率接合を実現した。

研究成果・インパクト

輸送機器の車体重量100kgの軽量化につき、10~20g/kmのCO2排出削減を達成できるため、適材適所に鋼材を活用しながら、高強度軽合金やCFRP採用は今後拡大すると考えられる。量的目標達成のためには、マルチマテリアル・ハイブリッド化の生産科学的課題解決がいっそう重要となる。紹介した当研究活動成果により、車体構造の安全性、耐食性、易解体性など、諸機能を満たす異種材接合の実現が期待できるため、世界的対応としての環境配慮・リサイクル社会実現の加速に寄与できる。新たな接合工法の革新が与える社会的インパクトは大きい。

担当研究者

安田 清和(工学研究科)

キーワード

CO2削減、軽量化、マルチマテリアル、異種材料接合、易解体性

応用分野

自動車等輸送機器の車体軽量化、車体材料のリサイクル