研究

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ムーンショット型研究開発事業「産業活動由来の有害な窒素化合物の循環技術創出ープラネタリーバウンダリー問題の解決に向けて」

池 道彦・井上 大介(工学研究科)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

取組要旨

人為活動に由来する有害な窒素化合物の無害化・資源化を実現するため「革新的な窒素循環技術」を確立する。産業・生活活動の結果発生する排ガス、廃水には、有害な窒素化合物が含まれている。現在、その無害化に大量なエネルギーを消費しており、十分な処理がなされない場合もある。プラネタリーバウンダリーの議論では、窒素化合物はCO2やリン等以上に、その限界を大きく超えており、環境汚染の深刻な課題となっている。本研究開発では、「人間が利用できるアンモニア量を大きく減らすことなく窒素化合物排出量を削減する方法を確立」するため、排ガス中NOx・廃水中窒素化合物を、アンモニア資源として利用できる形態に変換する技術を確立する。この技術により、排ガス・廃水中窒素化合物の環境排出、処理に要するエネルギー消費を共に大きく改善することが期待される。ムーンショット型研究開発事業に採択された本研究開発において、共同提案を行った大阪大学は、廃水中の有機物をメタンとして、窒素成分を資源化可能なアンモニア水として回収し、エネルギー自立型とする技術の開発を担う。

研究成果・インパクト

大阪大学が担う技術開発は、これまでにない新たな廃水処理技術の確立であり、陸水・海洋の水質保全(目標6・目標14)に貢献するうえ、省エネと創エネの両者を兼ねることでエネルギー自立型(目標7)とする画期的なものとなり、気候変動の緩和に貢献する(目標13)。また、極めて低コストで低環境負荷での運転が可能な廃水処理システムを提供することにより、産業の動脈側の制約を取り払い、廃水中有機成分の循環利用に貢献することで、地球環境保全に貢献する産業の基盤ともなり得る(目標9)。

担当研究者

池 道彦、井上 大介(工学研究科)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
池 道彦
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2013-1/201312_03/

キーワード

プラネタリーバウンダリー、窒素循環、廃水、嫌気性MBR(Membrane Bio-Reactor)

応用分野

環境保全・修復技術、省エネルギー・創エネルギー技術