研究

最終更新日:

プラズマの効率的な活用による環境調和型農業技術開発・水処理滅菌技術開発

浜口 智志・北野 勝久(工学研究科)

  • 理工情報系
  • 工学研究科・工学部

取組要旨

増大する世界人口に伴う食糧危機と貧困を克服するには、農業の生産性を一層向上させる必要がある一方、過剰な農薬や人工肥料の使用による環境破壊を防ぐことが、持続的な社会発展を目指す上で極めて重要である。例えば、安価に生産された人工肥料は、農耕地で過剰に散布され、地球上の硝酸塩濃度の異常な増大を招いており、環境破壊が懸念されている。本研究は、こうした観点より、大気中および水溶液中におけるプラズマ放電を用いて、殺虫、殺菌、窒素固定等を行うことにより、基本的に、電気と空気と水のみを用いて、必要な場所に、必要な時、必要な量だけの肥料および殺虫・殺菌・防黴作用を提供することにより、安価で持続可能な環境調和型・持続可能農業の発展に貢献するものである。具体的には、大気圧プラズマ放電や液中プラズマ放電を用いて、農作物の保存を妨げる雑菌の死滅やエチレンガスの分解、大気中の窒素固定による肥料の生成(過剰な人工肥料使用の抑制)、効率的な水処理と水耕栽培の効率化、また、プラズマ表面処理による農産物保存用パッケージ容器や包装フィルムの高機能化を目指した基礎研究を行い、フィリピン及び国内の研究グループと、大型予算申請の準備をしている。

研究成果・インパクト

本研究では、太陽光・風力・水力など分散型の再生可能エネルギーを活用し、エネルギー効率の高い放電システムを用い、大気中の窒素固定による肥料の生成(過剰な人工肥料使用の抑制)や効率的な水処理と水耕栽培の効率化を通して、農業生産の無農薬化・生産性向上を促進する。これにより、「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」新規技術開発に大きなインパクトを与える。加えて、本研究の過程で確立した大気圧プラズマ技術により、殺菌・滅菌効率を著しく向上させた水処理技術としての活用が実証されており、その成果の社会実装が途上国における深刻な水不足の解決に繋がる。

担当研究者

浜口 智志、北野 勝久(工学研究科)

キーワード

プラズマ医療、プラズマ農業、殺菌・滅菌

応用分野

プラズマ科学、農業、水処理