研究 (Research)

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燃料組成が初期火炎核成長および最小着火エネルギに及ぼす影響の解析

堀 司・赤松 史光(工学研究科)

  • 理工情報系 (Science, Engineering and Information Sciences)
  • 工学研究科・工学部 (Graduate School of Engineering, School of Engineering)

取組要旨

太陽光や風力などの再生可能エネルギーを効果的に活用するためには,主に電力である再生可能エネルギーを需要家まで輸送して,活用する必要がある.現在,余剰電力を蓄電するために,電池が期待されるが,安定性,コストの面で実現には大きなハードルがある.そこで,再生可能エネルギーの余剰電力と大気中の二酸化炭素で液体燃料を生成する手法(eFuel)が近年注目されている.eFuelは大気中の二酸化炭素から精製されるため,eFuelの燃焼で生じる二酸化炭素は二酸化炭素排出量に含まれない.自動車用燃料をeFuelに置き換える,もしくは従来の自動車用燃料にeFuelを混合することで,内燃機関から排出される二酸化炭素排出量を大幅に低減できる.eFuelを導入する場合,ガソリンや軽油の利用を前提に最適化されたエンジン燃焼に自由度をもたらすこととなり,新燃焼法による内燃機関の進化が期待されている.特に内燃機関においては,可燃限界の希薄混合気を燃焼させる超希薄燃焼を実現することで,比熱比増加と熱損失低下で熱効率が改善されるが,燃焼が不安定化する問題があり実用化に至っていない.そこで,本研究では容器を用いた燃焼実験および数値モデリングにより,希薄燃焼で安定に燃焼する燃料組成を提案し,内燃機関で熱効率50%を超える超希薄燃焼を実現できる液体燃料を検討する.

研究成果・インパクト

再生可能エネルギーの電力を有効に利用するためには,輸送,貯蔵,利用機器の問題を解決しなければならない.eFuelで電力から液体燃料を生成すれば,輸送,貯蔵の問題は回避できる.また,eFuelは電気自動車と異なり,従来自動車で再生可能エネルギーから生成された液体燃料であるeFuelを活用できる.本研究によって,自動車用燃料にふさわしい燃料組成が提案できれば,eFuelコンセプトが実現して二酸化炭素排出量の大幅削減を達成できる.これは,SDGsの目標である「エネルギー」,「気候変動」の解決に貢献できることを意味する.

担当研究者

堀 司,赤松 史光(工学研究科)

キーワード

点火 / 初期火炎核成長 / 燃料 / 最小点火エネルギ / プラズマ

応用分野

内燃機関