研究 (Research)

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政治的平等と政治参加

松林 哲也(国際公共政策研究科)

  • 人文学社会科学系 (Humanities and Social Sciences)
  • 国際公共政策研究科 (Osaka School of International Public Policy)

取組要旨

民主社会に住む有権者にとって、選挙での投票は最も身近な政治参加の形態である。しかし誰もが平等に投票に参加しているわけではなく、有権者の間には大きな参加格差があることが知られている。例えば、社会経済的地位や年齢が高い有権者ほど投票率が高い。政策形成において政府や政治家が投票率の高いこれらの人々の声をより積極的に拾い上げるのであれば、投票率の低い若年層や低収入層の望む政策が実現されなくなり、結果として参加格差がさらなる経済格差や世代格差を生み出すという負のスパイラルが発生することも考えられる。では日本や他の民主制諸国では投票参加における参加格差は拡大しているのだろうか。また社会全体での所得格差の拡大や高齢化の進展は参加格差にどのような影響を与えてきたのか。参加格差の縮小には制度設計が鍵となるが、それにはどのような制度介入が必要なのか。これまでの研究では日本のデータや国際比較データを用いてこれらの問いに取り組んできた。

研究成果・インパクト

「投票する権利が有権者全員に平等に付与されているから平等は達成されている」という考え方ではなく、社会の構造的不平等が参加格差をもたらすという考え方を示していく。平等の拡大を斬新的に達成するためには、不利な立場に置かれている人々の投票参加を促し、彼らの声が政策形成に影響を及ぼすことが可能になるようなメカニズムを作り出す必要がある。そのためには、時間や手間等の投票のコストを下げて、誰もが平等かつ簡単に投票に参加できる制度の実現を目指す必要がある。これらの目標を達成するために本研究活動は貢献を果たしうる。

担当研究者

松林 哲也(国際公共政策研究科)

※本学ResOUのホームページ「究みのStoryZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2018/6j9pxn/

キーワード

投票参加;選挙;投票制度;経済格差;年齢格差;制度設計

応用分野

政治学