研究

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レーザー駆動中性子源で「みる」「はかる」「つくる」

余語 覚文(レーザー科学研究所)

  • 理工情報系
  • レーザー科学研究所

取組要旨

高出力レーザーで加速されたイオンを特定の物質にぶつけることで、中性子と呼ばれる粒子を発生することができます。当グループでは、数ミリ程度のコンパクトな領域から、中性子を発生することに成功しました。これは、原子炉などの従来の中性子源に比べて、極めて小さいものです。また、中性子の時間パルス幅が短い(100億分の1秒程度)ため、高い時間分解能による分析などに応用できます。例として、(1)中性子による透過画像を使って老朽化したインフラを非破壊検査し修理の優先順位を評価する、(2)物質が中性子を吸収する特徴を使って、対象物の温度を、遠隔・透過・非破壊で瞬間計測する、(3)タンパク質や金属材料の結晶構造を瞬間的に解析する、などを目指しています。

研究成果・インパクト

レーザー駆動中性子源に対する国際的な関心は高まりつつあり、国際原子力機関(IAEA)は2019年2月にConsultancy Meeting on Laser-driven neutron and x-ray sources を開催し、代表者(余語)は日本代表として参画しています。その会議においてIAEAより、「レーザー駆動中性子源は老朽化インフラの更新(目標11)や生産技術の向上(目標9、12)に役立つほか、原子炉や加速器といった大型中性子施設を設置できない発展途上国が中性子源を持つ道をひらく(目標10)」との評価を得ました。最近では、佐賀大農学部と共同で、中性子を使った土壌水分測定を研究しており、農業適格土壌の拡大(目標2)にも貢献しようとしています。

担当研究者

余語覚文(レーザー科学研究所)

※本学ResOUのホームページ「究みのAtoZ」に、インタビュー記事が掲載されています。是非ご覧ください。
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/story/2018/k2aes1/

キーワード

インフラ透過診断、透過・遠隔・瞬間温度計測、結晶構造解析

応用分野

防災、生産技術、物質材料開発、製薬