研究

最終更新日:

雨水に含まれる低分子カルボン酸の微量分析

芝田 育也・角井 伸次・鈴木 至(環境安全研究管理センター)

  • 全学・学際など
  • 環境安全研究管理センター

取組要旨

 我々が、生活するうえで排出した洗剤やプラスチックなどの石油系分解物は、最終的に酢酸のような小さな低分子カルボン酸分子になる場合が多い。したがって環境中にカルボン酸がどの程度含まれているかを分析できれば、環境汚染の程度を予測できると考えられる。しかし低分子カルボン酸分子は水素結合により、お互いにくっつきやすい性質を持つため気化しにくく、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)では、正確に分析することができない。そこでカルボン酸分子を誘導体化しエステル化してのち、分析を行うこととした。その結果、カルボン酸であるギ酸、酢酸、プロピオン酸において、実際に雨水に含まれる4ppb-1ppm の極めて薄い濃度でも正確に分析ができた。また雨水と蒸留水との比較実験から、カルボン酸以外の不純物を多く含む雨水に対しても正確に分析可能であることも分かった。

研究成果・インパクト

 本研究の応用例として、大阪府内の異なる3か所でのサンプル分析を行った結果、観測地点における有意差も観測できた。今後この研究を続けることで、環境汚染の原因となる有害物質発生の地域や、原因の特定など、水資源の保全に役立てることができると考えている。本研究は、高校生の参加したプログラムである大阪大学SEEDS 実感科学研究に参加し、GSC( グローバル・サイエンス・キャンパス) 全国受講生研究発表会でも発表し、教育的に大いに貢献している。また、学術論文も発表した。

担当研究者

芝田 育也、角井 伸次、鈴木 至(環境安全研究管理センター)

キーワード

カルボン酸、水質汚濁、微量分析

応用分野

微量分析