研究

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健診データから未来の病気を予測する人工知能の開発

土岐 博・山本 陵平・橋本 治子・守山 敏樹(キャンパスライフ健康支援センター)

  • 全学・学際など
  • キャンパスライフ健康支援センター

取組要旨

大阪府は880万人の人口を有している。そのうちで国保と後期高齢者医療制度には毎年約300万人の人たちが加入している。その人たちの医療や介護のデータがKDB(国保データベース)データとして保管されている。さらには毎年健診は60万人くらいの人が受けている。大阪大学キャンパスライフ健康支援センターでは2012年度から2017年度の6年間の匿名化されたデータを国からのサポートを得てその解析とそれに基づく大阪府の保健行政、医療行政の改善のための提言について委託された。データ解析によって、健診を受けてから5年以内に病気になっている人や5年以内では病気にならない人がどんな健診データ上の特徴を有しているのかを分析することができるようになった。そこで、今回は、特に健診データからその後の疾病発症を予測するAIを作成するプロジェクトを開始した。大阪府が広く展開するアスマイル(おおさか健活マイレージ)事業と提携し、我々が開発するAIをアスマイルに搭載する予定である。さらにアスマイルでは毎日の歩数などのデータがあり、歩数と健診データの関係を見つけるAIを作ることで、例えば1000歩余計に歩けばどれだけ健診値が変化するかを予測し、予測健診データをAIに入力することでどれだけ病気になるのを遅らせることができるかもできるようにする。最初は重い生活習慣病の初期の症状である糖尿病、高血圧症、高脂血症、認知症の予測をできるようにする計画である。また同時に、それぞれの疾病のリスク因子を改めて健診データ、生活習慣、そしてレセプトデータを用いて明確にし、保健指導のターゲットを明確にし、効率的な保健行政の構築に資することを目標としている。

研究成果・インパクト

本プロジェクトは個人と社会の「いのちをまもる」という観点を最も大切にしている。個人が自らの健康状態を知った上で自律的に健康を保つことで、個人で構成される社会は医療費・介護費が適正に使われていることで経済的にも健全な社会を自律的に実現される。「個から社会へ」とするスキームを具体化する手段を見出すことが可能となる。我々の研究成果は、日本総人口の7%を占める大阪府を対象としているものであり、得られた成果は十分な外部妥当性を有していることから、日本全体の保健行政に展開することが可能であると考えている。そして、日本全体に目を向けると、2050年には医療費と介護費の総計は100兆円くらいになると試算されている。我々はその半減を目指す計画で各自治体や大学と共同作業をしている。その先のゴールとして、「すべての人に健康と福祉を」というSDGsの目標に沿うものして、個人が自らの健康状態を知り、数年後の病気の可能性を知り、さらに日常生活の改善により病気を遅らせることで自己実現を図ることが可能となり、さらには大きな社会問題ともなっている医療費・介護費の総額の増加抑制にも資することになると考えている。  

担当研究者

土岐 博、山本陵平、大山飛鳥、守山敏樹(キャンパスライフ健康支援センター)

備考

大阪万博が2025年に開催される。現在開発中の健診データから未来の病気を予測するAIの出展を考えている。

キーワード

健診データ、人工知能、糖尿病、高血圧症、高脂血症、認知症

応用分野

医療・予防(保健指導、医療費)